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台風18号接近!湿度は?

昨日から雨が降り続け、今日のお昼には大型で強い台風18号が通過すると予想されている横浜ですが、現在外の湿度は95%、住宅部の室内湿度は35%です。機械類は回していません。床壁天井ともコンクリート打放し、一部の壁に珪藻土クロスを使用している事務所は湿度53%です。
無垢のフローリングや珪藻土クロスの調湿効果はやはり凄いと思い直しています。
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まめ知識20 建築の質とコスト

6年後には東京でオリンピックですが、国立競技場の建替え問題で建築の設計界では色々な意見が飛び交っています。計画案そのものに対して、審査過程と審査経過の発表、環境問題、維持費、建設コストの問題などが主なところですが皆さんにも関係の深い建設コストの問題について少し掘り下げてみたいと思います。

設計コンペ当時の要項では1300億円の予算であったのが、概算で3000億円かかることが分かり、基本設計見直しに。新たに縮小された基本設計がまとまりましたが概算見積額は1600億円を超えたそうです。私にはやはり3000億円を超える建物に見えるんですが・・・
計画案を見ると、流線型の宇宙船の様な未来的な外観が目に留まりますが、私が一番驚いているのが屋根を支える構造です。長手方向の両端で地面に接地する長さ500mの端の様な大きなアーチ二本で支えています。計画変更で短くなりましたがそれでも400mあります。橋の様な構造だと思ってもらえば良いでしょう。この構造体が問題です。建築というよりは土木の世界の技術になりますから、桁違いのお金がかかると思うのです。この構造を採用する限り予算は大幅にオーバーすること間違いないと思っています。しかも現時点での見積もりですから、今後の資材の高騰と人手不足に陥ることを考えるとさらに上がることは間違いなさそうです。建設業界は長く続いたデフレの影響でベテラン、働き盛りの年齢層が急激に減っています。ベテランは年寄りばかり、3Kの現場には若い人も来てくれないのが現状だそうです。群馬県のデータによると10年以上新卒を採っていない建設会社が3割、5年以上だと5割を超えるそうで急に公共事業を増やすと言われても対処できないと悲鳴を上げています。
 昔の話になりますが日本中がバブルに沸いていた頃、設計するものするものが軒並み予算オーバーになった頃が有りました。倍とは言わないまでも5割増は当たり前、それよりも建設工事をしてくれる業者を見つけるのが大変、という頃がありました。今回はそのようにはならないでしょうが、今後住宅規模の設計でも資材と人材の問題で予算オーバーという事態は避けられそうにない雰囲気です。

 小規模建築の話しで恐縮ですが、私の住宅やアパートの設計の経験からコストの話しを進めさせていただきます。設計を進めるにあたり、提示されたコストに合わせて設計を考えるというのは当たり前と考えています。同じ施主、土地で同じ床面積あっても住宅の建設予算が4000万円と3000万円では仕上材料が違うだけではなく建物の形から構造、開口部の考え方まですべて違うからです。超ローコストの家であればデコボコと複雑な外観や中庭を取ることは最初から考えられません。単純な四角い箱の中で住みやすく快適で豊かな空間を造るように心がけます。一方多少しでも予算に余裕が有る時には建物を掘り下げてみたり外観が複雑になったりする条件の中で同じように住みやすく快適な家を造ることを考えます。さらに予算がある時に初めて壁の仕上や高い材料などを考える訳です。
余談ですがこの最後に書いた「材料」が高級であるかどうかが税務署の建物の評価額に大きく関係してきます。ですから我々建築家が設計する住宅の評価額は概ね低く、逆にケヤキの一枚板、4方無節のヒノキの通し柱、秋田杉中杢の天井板等を多用している風呂屋の様な外観の農家の建物が一番高く評価されるのです。
以上の様な理由から予算3000万円と言われていたが、実は始めから4000万円はかけるつもりでいた、というのが一番困ってしまいます。

住宅の場合、予算が先にありきの場合が多いですから一概に新国立競技場のケースとは比べられませんが、私のように30年も住宅や採算上の問題のあるアパートを設計しているとコストの問題は一番重要な問題になってしまいます。
 一方海外では・・・
イタリアの巨匠、カルロ・スカルパという有名な建築家がいましたが彼の設計する住宅は完成するまで10年以上かかるものも少なくなかったと言います。スカルパ曰く「設計上の問題は建築家の問題であるが、建設資金の問題は建て主にある」ということだそうです。私も一度で良いので言ってみたい台詞です。ということですから建て主の資金が枯渇してしまうと建設は止まり、またお金ができるまでそのまま放置されてしまう訳です。これはイタリアのお国柄かもしれませんが、同じ理由で建設が途中で止まっている建物をよく街中で見かけました。
 コストが一番大事と書いてきましたが公共建築等、頑張れば予算がとれるかもしれないといった中では、建設コストが上がるということはそれほどひどいことなのかと言うと?印もついてしまうので厄介です。考えさせられてしまう一例を挙げてみましょう。
 日本の現代建築に対しアンケートをとると一番優れた建築物は前回の東京オリンピックで丹下健三氏によって設計された「代々木のオリンピックプール」がいつの時代もダントツの一位です。この建物ですが設計が終わった時点で実は当初の予算の2倍になってしまい、丹下健三が直接大臣に予算を取ってもらえるように直談判に行ったと言われています。半分の予算のまま設計を変えて完成していたら今の様な絶対的な評価は得られなかったでしょう。また、コスト削減のため屋根をステンレス板で葺く予定であったのをカラー鉄板に変更したため、現在でも定期的に屋根の補修とペンキの塗り替えをせねばならず、その維持費に膨大な費用がかかっているようです。
この問題はイニシャルコストとランニングコストの関係に他ならず、住宅でも同じ問題があります。建設時にちょっとケチってしまったためその後ずっと維持費がかかってしまうことなどそこら中で聞く話しです。前にも書きましたが、断熱材などが良い例で、建設当時にしっかりと入れておけば数十万円もかからないものをケチってしまうと住んでいて不愉快なだけでなく毎月の光熱費もバカになりません。
以上のようなことをすべて配慮したうえ、コストをどこにかけるか、ランニングコストを考えると何が良いのか、予算オーバーでも後々気に入ってもらえる案が良いのかなど総合的に判断して私は最初の案を提出しています。

TESLA Model S 電気自動車 Now

電気自動車に試乗してきました。TESLA モデルS です。
外観はマゼラッティーのような普通の?高級車です。
インパネも未来的でボタンではなく大型のタッチパネルが中央に一枚あるだけで、他にスイッチやボタン類は見当たりません。シフトレバー、サイドブレーキも無い!
走り出すと当然ですが音がしないので何となく変な感じです。ゆっくりとランプを走っている時はそうでもなかったのですが、道路にでて前が空いていたのでぐっとアクセルをふんだら・・・
ドッカーンと音も無く加速。その加速感がガソリンエンジンに無い不思議なもので、低速からグイグイと引っ張ります。こりゃーいままで未体験の加速感だなぁっと、驚くやら感心するやら。音もしないし。いつの間にか電気自動車は高性能スポーツサルーンになっていました。

1回の充電で走れる距離は500km、充電時間は急速充電だと1.5時間、家庭用コンセント40Aからだと一時間あたり40km走れる量を充電できるそうです。しかも電気代は500km分で1500円だとか。
こりゃー良いこと尽くめの実用車じゃありませんか。
後は充電ステーションの問題だけですね。

日本の自動車メーカー各社がハイブリッド化を目指している中、日産自動車は頑に電気自動車路線を突っ走っているのは戦略の誤りと思っていましたが、日産の方が正しかったようです。5年、10年後は電気自動車だらけになるのではないでしょうか?15年も経つと車=電気自動車となるような気さえしてきます。
とにかく驚きの一日でした。

teslafront.jpg
ボンネットの中は空っぽ。フロントグリルのようなデザインですが実は穴の空いていないパネルというのは、ご愛嬌!

teslaback.jpg
当たり前ですが、マフラーが無い!


未来的なインパネ。ボタンは無く大きなipadのようなタッチ画面からすべてを操作。

まめ知識19 梅雨時に湿気対策について考えるII

今回は機械に頼らない対策方法を述べていこうと思います。
まず最初に考えられるのが内装の建材に頼る方法です。天然材料が相手ですからどの程度の効果になるのか計算ではなかなか数字が出ないのが厄介ですが、実際の部屋で計測した実験結果から見ると、床に無垢のフローリングを敷き詰めた部屋と、そうではない部屋では外の湿度変化に対する室内の湿度の変化が半分程度に軽減されたという結果が出ています。また床材で言うと畳が結構良い数字を出しています。
また壁の材料ですが、最近人気のある珪藻土。単体としての吸湿、放湿データはありますが、実際の部屋でどの程度の効果があるかは部屋の条件、外気圧、換気条件など様々な要因が絡みますから学問となるような体系的なデータは残念ながらまだありません。しかし壁紙メーカーのサンゲツなどが独自の実験を繰返しており、そのデータは各社のHPなどで見ることができます。その数値を見るとやはり外の変化に対して室内の変化を半分弱程度に抑えることができるということが分かります。

以上から内装材のフローリングや珪藻土などの壁材・天井材が効果的であることが分かります。それらの材料の特徴は比較的軽く、ざらざらしているものが多く、単体としても吸水率が高いことです。吸水率が良いかどうかを簡単に見分ける方法は霧吹きなどで水をかけたとき、ガラスのようにすぐに水球になって流れ落ちるのか、その場が湿って水を保持するのかで分かります。
また使用上の注意点としては、フローリングなどの場合、木が調湿効果をもたらせるためにはその表面をペンキやウレタンなどの塗膜で覆ってしまっては効果は見込めないと言うことです。前のまめ知識で述べたようにオイルなど、表面を覆ってしまわないもので保護しておく必要があります。

我が家のデータですが、梅雨の始まり6月6日、関東地方で記録的な大雨が降った日になりますが朝の外気温が19度湿度94%に対し、室内温度は21度、同湿度47%と大きく湿度が違いました。
その後も一日中雨が降り続き約12時間後、外気温は18度、同湿度93%と朝とほとんど変わらない状況でしたが、室内温度20度同湿度53%でした。雨が激しかったのであまり窓を開けて外気を入れなかったこと、前日まで晴れていたため、室内の空気が乾燥していたこともこの数字に大きく影響していると思いますが、今度は何日も雨が続いた時にもデータを取ってみようと思っています。

そして建材以外で重要なのは使い方です。湿った空気を室内に入れない、室内で水分を発生させない、なども重要になってきます。例を挙げると
・風呂場の湿気を室内に持ち込まない。
・風呂の水を長時間溜めておかない。
・ガスを燃焼させると水分が発生するため、速やかに換気する。
・洗濯物を室内で干さない。
・寝室の換気を十分に取る。寝ている最中の人体から発散される水分は意外と多いものです。
・外部の湿度が高いとき、室内に空気を入れない。

といっても通常の木造住宅ですと窓を閉めていても一時間に1-2回程度、自然と空気が入れ替わっています。基準法で健康のために必要とされている換気の回数は2時間に一回ですから、湿度の高い時はむやみに換気扇を回し5回も6回も入れ替えない、などが有効な対策になります。梅雨の間でも晴れ間が出ている時は湿度が40-50%台のことがよくあります。雨の降り始めは60-70%と低い値を取っていますが、しばらく雨が降り続くと90-100%と急に上昇することが分かります。そのようなことを頭に入れて、
・晴れ間が出た時には窓を開けてかんそうした空気を取り入れる。
・雨が降り始めたらなるべく外気を室内に入れない。
ということが有効になってきます。
簡易な温度・湿度計を室内と室外に設置してしばらくデータを見るのも有効かと思います。

室内で発生する水分ですが、ガス燃焼による水分の発生量は以外と多く灯油を1リットル燃焼させると同量の約1リットルの水分を発生させます。同じ熱量のプロパンガスを燃焼させた時にも同程度の水分が発生し、都市ガスでよく使われている天然ガスの場合はさらに多く約1.5Lの水分となりますので、台所で調理をしている時には臭いや煙が出ていなくても換気をして、水分の多く含まれる空気をすぐに換気してやることで湿気の少ない室内環境とするのも重要です。

まぁあまり深刻に考えず除湿運転、弱冷運転をするのが手っ取り早いかと思いますが、今回述べてきたことを目安として、少しでも快適に過ごせるようにして下さい。

まめ知識18 梅雨時に湿気対策について考えるI

ワールドカップがは日本の一次リーグ敗退が決まり残念な結果となってしまいましたが、ブラジルでも開催する会場によって湿度の極端に高いところ、そうではないところと色々な条件のもと選手たちは戦っているようです。一方日本は梅雨で湿気の多い日が続いています。皆さんはどのような湿気対策をしていますか?

まずは湿度について。湿度には絶対湿度と相対湿度というものがありますが、よく耳にするパーセントで表しているのは相対湿度というものです。空気は温度によって含まれる水蒸気の限界量が変化します。(表参照)
この相対湿度の数字が私たちが快適に思うかジメジメ感じるかと深く関係しています。気温が30度ですと空気中には1m3あたり約30gの水蒸気を含むことができますが、気温が下がり10度になると10g、0度ですと約5gまで少なくなります。相対湿度が小さければまだ空気自体に余裕がありますから、人体から発生する汗も蒸発し、空中に吸収されやすくなりますが、100%近くなってしまうと空中にはほとんど放出されず、いつまでも汗は蒸発しなくなりジメジメと感じる訳です。冬はこれとは逆に湿度が10%などと低くなると体からの水分がどんどん蒸発してしまいお肌はカサカサ、いくら暖めても暖かく感じなくなってしまう訳です。気象庁の2011年のデータによれば、東京の1月の平均湿度は36%ですが、10%を下回った日も半分以上あります。かたや6月は平均で71%で、30%程度まで落ちた日は6日しかありません。そのため快適な室内環境を保つために冬には加湿、夏には除湿と忙しくなってしまう訳です。また人が快適と思われる湿度というものがあります。それは50%ですからなるべくその数字に近くしようとするのです。

50%に近づけるため除湿器、エアコンの除湿運転や内装の材料を工夫するなど色々有りますが、今日は両方の視点から考えてみます。
今回は機械のお話。この季節じめじめとして除湿器やエアコンの除湿運転に頼っている方も多いと思います。また夏、蒸し暑い時は湿気を多くとりたいので「冷房ではなく除湿運転をする」という方も多いのではないでしょうか?除湿、弱冷どちらが効果的でどのように使い分けるのが良いのでしょうか?
結論から言うと、除湿の効果は除湿運転するよりも冷房運転をした方が大です。
メーカーによって様々な名称がある除湿運転ですが、現在のエアコンで除湿できる運転は次の三種類だけです。
・冷房運転で除湿する(いわゆる、冷房運転)
・弱冷房運転で除湿する(除湿モード、除湿運転)
・再熱方式で除湿する(最近高級機種に搭載されているもので、冷房で冷えた空気を再度暖める)
二番目の弱冷房運転で除湿する、というのが一般的に「除湿モード」といわれるものになります。

エアコンでの除湿の基本は皆同じで、室内機の中で空気を冷やして結露させて水分をとる、という事です。冷えたコップの外側がびっしょりと濡れるのと同じ原理です。湿った空気を冷たいものに直接触れさせると触れた部分の空気が冷やされ、空気中に水蒸気として入っていられなくなった量が水分として搾り取られると言う原理です。先程のグラフで具体的に考えると、気温30度湿度100%だと1m3に30gの水蒸気が含まれますが、これを15度まで冷やすと約13gまでしか水蒸気として空気中にとどまれなくなりますから、残りの17gは水となって結露し流れ出てきます。長時間運転し、室温が下がらなかったとすれば43%に次第と近づきます。仮に25度まで室温が下がったとすると(25度の時の飽和水蒸気量は約23gですから)56%になります。冷房や除湿運転中、室内機の外側についているドレンパイプというところから水がかなりの量出ているのを見たことがあると思いますが、あの水が空気中に入っていられなくなった水分になります。ですから除湿するためにはまずは空気を冷やさなくてはならないのは冷房運転でも除湿運転でも原理は同じなのです。

では色々なモードがありますが何が違うのでしょうか?下記の一覧表で違いを見て下さい。

        除湿方法        欠点      除湿効果 電気消費量  
冷房運転   いわゆる普通の冷房   室温の低下     最大    中

弱冷房運転  弱冷房にする事で    除湿効果が     最小   最小
       室温の低下を防ぐ    低い

再熱除湿運転 冷房運転で冷えた空気を ヒーターを使うため  中    最大
       ヒーターで暖め直す   電気を食う

ということで、再熱除湿運転は室温が下がらず快適でありますが、冷房して冷やした空気を暖房でまたもとの温度にすると言う、かなり厄介なことをしています。暖房運転はヒートポンプというかなり効率の良い運転方法で暖めますが、再熱除湿はヒーターですからエネルギー効率もかなり悪くなります。
また参考までに除湿専用の機械を運転すると室温が上がってしまうのは室外機が無いからで、機械から出る熱が多くなるためのもので、ヒーターが作動しているからではありません。

まめ知識17 買い替えたいけど入らない!?

人は時間とともに贅沢になっているようで、30年程前と色々なものを比べてみるとかなり大きく、豪華に変化しているのが分かります。
例えば車。1970年頃、大衆車はカローラとサニーでした。ちなみに初代のカローラは長さ約3.8m、巾1.5m弱、重さ710kgで、今の代表的な小型車ヴィッツと比べると長さ約3.9mとほぼ同じですが、巾は約1.7mへ、重さに至っては1000kgと大きく変貌しました。昔の車がいかに小さかったか分かります。

でも一番大きさが変わったのは人間かもしれません。戦後すぐの頃、日本人17歳男子の平均身長は165cm程でしたが、1985年頃には170cmを超えました。しかし1990年以降は171cmから伸びておらず、現在に至っています。江戸時代の男子平均は155cm程度と言いますから現在は伸びがなくなっているとはいえ、15cm以上高くなった計算です。戦後から現在に至る大きな伸びは生活習慣の変化と食習慣の変化と言うことだそうです。色々なものが大きく変化しているのは単に贅沢になっただけではなく、使う人も大きくなっていた訳です。

車と同様に建築の世界でも色々な寸法が年々大きくなってきました。30年前に設計を始めましたが、当時長さ1200mmのバスタブは贅沢な余裕ある寸法でした。それがいまや1400mmは当たり前、1700mmも増えてきました。
キッチンの大きさもだいぶ変わりました。1970年代のキッチンは高さが80cm、奥行き55cm、巾は様々有りましたが平均すると1.8m程度が標準でした。それが現在は高さが5cm増えて85cmに、奥行きは10cm増え65cmと一回り大きくなり、巾にいたっては2.4mが最低基準、2.7mは欲しいと思っている主婦が増えて来ています。これらの寸法の変化は日本人が大きくなったことに関係していると考えられます。

家電製品も同様に大きくなりました。冷蔵庫や洗濯機、テレビも30年前と比べると大きくなっており、皆さんも買い替えのとき、置き場所の寸法と製品の寸法を見比べながら、入る?入らない?と頭を悩ませた経験のある人も多いはずです。しかし設計に携わっている私の感覚で言うと、ここ10-15年はTVと洗濯機を除いてあまりサイズアップにはなっていません。TVは液晶が主流になって一気に大型化しました。洗濯機はドラム式が出て来て一回り大きくなりましたが、従来の全自動洗濯機の大きさは変わっていません。
これらの寸法の変化は高度成長期を過ごし、日本人の生活が次第に贅沢になって来たことが大きな原因と言えるでしょう。

では、他の国ではどうなのでしょうか?
例えばアメリカ。車、冷蔵庫、ガスレンジ、洗濯機や乾燥機、そして人も最初から大型です。1970年代でも冷蔵庫の500L、600Lは当たり前で、GEの冷蔵庫が大型家電の代表でした。最初からすべてが大きかったものですからその当時から大きくなったものはテレビくらいで、車などは逆に小さくなっています。
ヨーロッパ、例えばドイツはどうでしょうか?
キッチンで比べてみると面白いことが分かってきます。ドイツではキッチンは家具というよりも工業製品ととらえられています。ですのでポーゲンポール、ジーマチック、アルノなどのシステムキッチンメーカーが数多く有る訳ですが、寸法は規格化されていてカウンターの下に設置する食器洗い器、オーブン、冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機、乾燥機の巾と奥行きは60cmで統一されています。30年前も現在も同じ寸法です。ですから買い替えはもちろん、冷蔵庫を置いていたところに洗濯機をはめ込むこともできますし、自由に組み合わせることができます。他のヨーロッパ諸国も色々なものが多少は大きくなって来ていますが、日本ほど大きさの変化があった国は有りません。アメリカ、ヨーロッパ諸国は最初から生活レベルが高かった訳で、その間日本は高度成長期、所得倍増などという言葉からも分かるように急速に先進国への仲間入りを果たした訳です。
では今後はどうなるのでしょうか?
10年後に冷蔵庫の容量が倍になっているとは考えられませんし、今のまま横ばいで進むのではないでしょうか?むしろ技術革新で同じ容量の冷蔵庫の外形は小さく変化して来ています。TVも大きくなりましたが、薄型になったためむしろ置き場所は昔の方が工夫が必要でした。後はドイツの工業規格では有りませんが、それに準じた規格、またはDIN(ドイツ工業規格)にあわせたサイズの家電製品が出回るようになれば買い替えの時に変な心配をしなくて済むようになりますが、現在その需要は少ないようです。

まめ知識16 屋根のかたちについて

周りの家々をちょっと見て下さい。上の方なのでなかなか普段は気にしないところですが、屋根にも流行があるのに気がつきます。流行と言っても最近はすっかり寄せ棟(よせむね)型(下図参照、以下同)の屋根に定着してしまいましたが。一方、子供に家の絵を描かせるとほとんどの子が切り妻(きりづま)型の家を描きます。切り妻とは簡単に言うと犬小屋形式の屋根です。昔から家の形は切り妻屋根が定型だったのが子供の描く絵でも分かると思います。ちなみにサザエさんやドラえもんの家も切り妻ですね。

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では建築家はどんな屋根を好むのでしょうか?
陸屋根(ろくやね)という平らな屋根、片流れ屋根、ちょっとデザイン的なヴォールト屋根、日本風を売りにしている建築家は切り妻屋根、本格的な数寄屋を設計する人は入母屋(いりもや)となります。寄せ棟の一種である正方形の屋根、方形(ほうぎょう)屋根は時々見かけますが、不思議なことに街中でよく見かける寄せ棟屋根を選択する人はほとんど見かけません。
建築家は元来へそ曲がりですから寄せ棟を作らないのは容易に想像できますが、ここまで寄せ棟が増えた理由を考えてみましょう。

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歴史的に見てみると縄文時代に盛んに造られた竪穴式住居が原点になります。写真上は佐賀県吉野ヶ里遺跡の竪穴式住居の外観です。入母屋形式ですね。入母屋になったのは次の様な理由からだと思われます。
竪穴式住居の外形は円形または方形ですが、中心に4本−6本のやぐらが建てられそれをもとに屋根を掛けていきます。二辺をそのまま屋根をのばしていき、かたや途中で止めることによって三角形の壁が自然とでき採光や排煙に都合が良かったと思われます。構造的にも四方八方から真ん中に寄ってきたタル木を整理してやる必要がありますから、この方が作りやすかったのです。(写真下参照)

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その後、中世になると社寺仏閣などでは入母屋が採用され、一番格式の高い屋根形式となります。現在でも数寄屋造りが入母屋なのはそのような理由からです。格式で言うと入母屋に続くのが切り妻で一番低いのが寄せ棟でした。

では何故いまの住宅で格式の低い寄せ棟が主流となったのか?
昭和40年頃までは圧倒的に切り妻屋根が多く、そのため日本人の家のイメージは切り妻屋根になったのは前述の通りです。40年以降住宅はハウスメーカー、プレファブメーカーのものが主役となりますが、それと時を同じくして寄せ棟が増えていきました。寄せ棟はハウスメーカーのスタイルと言っても過言ではありません。ハウスメーカーが寄せ棟を選択したのにはちゃんと理由があります。

一番大きな理由は法規的な問題からです。日本の住宅地では北側斜線制限と言う規制があり、厳しいところでは隣地との境界線上で5mより高いところに建物は建てられません。境界線から離れるに従って6m,7mと徐々に高くまで建てられるようになります。東西南北にきちっと合った境界線であれば北側の境界線だけを気にすれば良いわけですから、片流れでも切り妻でもこの規制に引っかかること無く建てられますが、例えば45°境界線が振れていたりすると北西の境界線と北東の二方向で5mからの斜線制限に引っかかってしまいます。そんな時は境界線から離して建てるか寄せ棟や陸屋根にするしか無いわけですが、都心に近い住宅地では広さが十分でない場合が多いため離して建てるのは困難なケースが多くなります。どんな土地にでもフィットするプロトタイプを設計しようとすると寄せ棟か陸屋根しか無いわけです。陸屋根に抵抗がある人、技術的な問題もありハウスメーカーは寄せ棟を選択した、というのが今の街並を造り出しました。
もう一つの理由は構造的なことになります。寄せ棟を作ろうとすると下の柱の位置や耐力壁に関係なく、屋根は屋根で作らなくてはならなくなります。何故かと言うと三方の屋根が集まってくる頂点や尾根にあたる棟の位置と下の構造体を合わせることはとても難しいからです。下の構造は下で完結させ、屋根は屋根で別に考える、というのが寄せ棟の基本的な考え方です。この様な屋根の構造を和小屋といい、昔から日本の住宅はこの方式で建てられました。簡単で良いのですが、屋根を支える大きな梁やその上に束が下の構造とは関係なくあるものですから、大抵の場合ごちゃごちゃした屋根の構造体は見るに耐えず、二階に平らな天井を張って隠してしまいます。平らな天井と斜めの屋根に囲まれた大きな屋根裏ができるのですが、この使い道の無い空間を建築家は嫌います。囲った空間はなるべく有効に使おう!と大学で教わってきたからで、住宅作家として有名な吉村順三先生を始め、私の恩師である林雅子先生も断面で見えてくる天井裏は小さければ小さい程美しいと言っていました。これが真理であるかどうかは別の機会に述べることとして、近代建築そして現代建築は空間の有効利用を大きな目標としています。

私がよく使う陸屋根、昔はロクでも無い屋根だから「ロクヤネ」なんて、嫌みも言われていましたが、FRP防水という新しい工法が広まるにつれ木造でも雨漏りの無い安心できる「陸屋根」が作られるようになりました。今から20年程前の話しです。ハウスメーカーもインナーバルコニーと言ってバルコニーの下に居室のあるタイプをこの頃から作り出しましたが、これもFRP防水の信頼性が高まった影響です。studioAでは折板屋根の陸屋根を採用することが多いのですが、技術的には昔から工場で使われている信頼性の高いものです。ただ一般的には工場や倉庫、住宅でもカーポートでしか使われることが無いため、あまり良い印象は持っていただけないようです。

ということで今日の話しは終わりますが、屋根一つとっても奥が深いことが分かっていただければと思い書かせていただきました。

まめ知識15 住宅の温熱環境について

住宅の温熱環境を向上させる、簡単に言うと冬暖かく、夏涼しい家を造りましょ
うということなのですが、省エネが叫ばれるようになって何年も経つに もかか
わらず日本の設計業界の実態はまだ手探り状態で、各自色々と工夫を凝らしなが
らやっているというのが住宅設計現場の現状です。私も温熱環境 の向上を目指
しているものの、昔はうまくいったりいかなかったりと、何とも心もとない状況
です。そこで私が属している「家づくりの会」の有志を集 め、今年から自然エ
ネルギー研究会なるものを発足させ、2-3年をめどに、本当の省エネ住宅とは何
なのかを研究することにしました。

研究会を立ち上げようと思ったきっかけは環境省が行った省エネ住宅研究の結果
を聞いたからです。
全国20の自治体で省エネ住宅住宅を研究し、実際に一棟つくってもらう事業を
行い、現在JIAがその効果などを測定し本にまとめているそうです。 担当者によ
ると結果はバラバラで省エネとうたっていながらその結果が測定値に反映されて
いなかったり、逆に悪影響をもたらしているものもあったり し、省エネに対す
る取り組みやアイデアも独自に考えられているものも多く、とても体系だった学
問にはなっていないという結果だそうです。

目黒に事務所があった2004-2009年、古い借家に住んでいた時、夏あまりに暑い
ので部屋の温度を測ってみました。たぶん断熱材が入っていな かったと思いま
す。真夏の昼の2時に外出して帰ってきたときの温度は以下の通り。放射温度計
を取り出し各部の温度を測ってみると
外気温   38.4度
室内気温  39.9度
和室天井板 45.5度
南側内壁  41.0度
床タタミ部 38.0度
床塩ビシート部 36.0度
これではいくらクーラーをかけても室温が下がらない。快適な温熱環境にするに
は周りのものすべて(床、壁、天井、家具など)が一定の快適な温度に なって
いる必要があるからです。断熱材など一件の家で10万円程度のもの。でも昔の
家は入れなかったのです。後から入れようと思うと大変な工事に なるので最初
が肝心です。

2009年に新築した自宅で、今度は断熱材がたっぷり入った状態の家でデータを
取ってみました。断熱材はロックウール系断熱材を壁、天井面に 55mm入れてい
ます。天井というか屋根の裏面は更に発泡ウレタンフォームを30mm吹き付けてい
るのでこの地域の標準の3倍程度の断熱性があり ます。

真冬の2月、夜9時頃、部屋の色々な部分の温度は下記の通りでした。
 外気温  6℃
 室内温度 19℃
 壁各所  19℃で同値
 床    18℃
 2階天井 19℃
大窓2.6m×2.6m ガラス厚さ10mm、単板ガラス、東向き、カーテンなど無しの部分
 中央部  11℃
 下中央  9℃
 下隅部  7℃ この部分はうっすらと結露していました。
夜11時半に暖房を切って夜明け前、5時半になっても室内は13℃を確保していまし
た。朝は5時半頃から8時半頃までエアコンを回しますが、その 後19時頃までは
太陽の熱だけに頼っており、室温は大体23度程度まで上がります。一番厳しいの
は曇天が3-4日続くときですが、一冬で1-2回 しかありませんのであまり気にな
りません。
その後も継続的に計っていますが概ね同じような値で、いままでに室温が11度を
下ることはありません。

半分は偶然だったのですが、吹抜けが多く床暖房設備も無いため冬は寒い、と覚
悟していた自宅は関東地方の冬の天候とあった設計になっていたことが 分かり
ました。関東から東海地方の太平洋側では冬は晴天が続くことが多く、昼間の日
照を使った自然暖房が期待できます。南側の開口部から室内に 入った太陽が一
日中床を暖めてくれるからです。夜間にはガラスの開口部は熱が逃げる場所に
なってしまうのですが、それよりも日中のダイレクトゲイ ンの効果の方が大き
いようです。また夜はカーテンなどで熱の逃げるのを防ぐのも簡単です。
日照plan
上の図は我が家の夏至、冬至に東の窓から入る日照のシミュレーション。

次に朝の日照ですが、これは本当に実体験して勉強になりました。
日の出の時の太陽の位置は冬至、夏至のときそれぞれ真東から南に約30度、北に
約30度ほど振れます。冬至前後の東京での日の出は6時50分頃で す。また夏至の
頃は4時30分頃になります。
朝、皆が起きてきて食事をとるのが7時とすると真冬はちょうど太陽が上がって
きた時間で、太陽が上がってくる方向(真東より約30度南側)に窓が あれば部
屋の奥深くまで太陽光が入り込むことになります。一方夏至の頃はすでに太陽高
度は30度程度まで上がっています。太陽の方向は真東から約 10度北側です。
さて我が家は敷地の関係で建物全体が西側に20度振れています。一般的には建物
は夏の西日を防ぐため東側に少々振れているのが理想とされているの で我が家
は逆になりますが、これも偶然にも幸いしたようで朝食事中に部屋の奥深くまで
朝日が入ってきてくれます。
偶然が重なったのですが、今後はこの経験を生かし温熱環境にやさしい住宅を目
指し、更なる研究を進めていきたいと思っています。

まめ知識14 水栓の話し

昔はお湯のでる水栓と言えば回すノブが左右に二つついてその開具合を微妙に調整しながら適当な温度と水の勢いを制御していたものです。現在はだいぶ便利になって下の写真のようなシングルレバーと呼ばれるものがほぼ100%になってきました。
シングルレバー

ここに落とし穴があるのですが、シングルレバー水栓で水だけ出しているつもりで、いつの間にか湯沸かし器が作動していた、と言うのケースがほとんどだって知っていましたか。

本題に入る前に、まずは水栓の基本から。
水栓も色々な種類が出回っておりデザイン的にも機能的にも様々なタイプがあります。
水だけが出るものは単水栓と呼ばれますがお湯と水を混ぜて使うものは様々なタイプがあり機能的に分類すると、
・混合水栓(ツーハンドルと呼ぶこともある、冒頭で述べた昔の方式です)
・シングルレバー水栓
・サーモスタット水栓 
などとなります。

混合水栓は昔からある一番単純な機構で右側に水を出すハンドルが、左側にお湯を出すハンドルが付いており適当な温度になるように左右を調整して使います。欠点はちょうど良い温度になったとき水量が多すぎたり少なすぎたりしたとき、また左右のハンドルを操作して適当な温度に調整してやらなければならないことです。使いにくくて他のタイプに付け替えている人が多いと思います。
現在はほとんどが右の写真のタイプで〈シングルレバー〉と呼ばれている水栓です。その名の通り一本のレバーを上下左右に動かすことでで水を出したり止めたり、水温を変えたりすることが出来ますが、単純にお湯と水の入って来る口を絞ったり開けたりしているだけなので急な水圧の変化で水温が変わることがあります。例えばトイレの水を流すと水側の水圧が小さくなり相対的に温度が上がってしまいます。
その温度変化を無くしたのがサーモスタット付き水栓で、主にシャワーに使われます。ハンドルが二つ付いているのは混合水栓と同じですが、左側で温度を設定してやり、右側で水量を調整(またはその逆)するタイプで、内部にはサーモスタットが付いており水圧の変化によって急に熱くなったりしないように制御できる高級品です。最近の住宅では一般的に洗面器、手洗い器にはシングルレバー水栓、シャワーやお風呂の吐水口にはサーモスタット付き水栓を使っています。
シングル湯水

さて初めの話に戻りますが、よく使われているシングルレバー水栓、これには大きな欠点があります。上の写真を見てください。レバーが右側に向いているとき(写真上)は水だけが出ます。逆に左側を向いているとき(写真下)はお湯だけになります。と言うことは真ん中にある時でも半分お湯が混ざっていることになるのですが、お湯が出てくるまで少々時間が掛かるため使っている人は水だけを出しているつもりでも実は温水器が作動しているのです。
人の心理として真ん中で上げ下げして使いますよね。そのたびにガスや電気を無駄使いしているのです。
メーカーは早々にデザインを変更して、真ん中での上げ下げで水だけ、左にひねると徐々にお湯がミックスされるようにするべきだと10年程前から各 メーカーに言っていますが反応は良くありません。(この原稿を書いてから念のため各メーカーの製品を見ていたら、ドイツグローエ社が上記のような 新製品を「エコ商品」として発表していました)

最近の温水器は熱源がガス、電気を問わずお湯の供給温度を設定することが出来るので、急に熱いお湯が出てやけどをしないように40-50度に設定している人が多いようです。そのような場合は一昔前にはやったツーハンドル混合水栓も便利に使うことが出来ます。水を使いたいときは右側だけ回せばよいので間違って給湯器が作動することもないからです。

シャワー付きの水栓はサーモスタット付きがよいでしょう。特に昔の電気温水器を使っている場合最悪80度以上のお湯が出てくることが考えられるからです。もちろん最近の温水器は温度設定が出来ますから安全面では心配ありませんが、水圧の変化で温度が変わらないようにするには(万能ではありませんが)サーモスタット付きしかありません。値段は張りますが余裕があればシャワーはサーモスタット付きをお薦めします。
サーモ
サーモスタット付きシャワー水栓

次はメンテナンスの話しになります。これら便利な水栓の中にはカートリッジと呼ばれる水とお湯をミックスさせる機構をコンパクトにまとめた部品が入っています。ほとんどの人は普段見たことがないと思いますが、前ページ写真のシングルレバー水栓の場合、垂直に立っている脚の部分に入っています。普通に使った場合寿命は10-15年程度で、調子が悪くなると水の切れが悪くなったり、ポタポタと水漏れが止まらなくなります。そのようなときは分解してカートリッジ本体ごと交換になります。昔のような単純に水だけを出す水栓では5円玉程度の大きさのゴムのパッキングを取り替えれば良かったのですが、便利になった分交換も専門的になってきました。カートリッジ本体の値段はメーカー、型番に酔って異なりますが、¥3000~¥10000程度です。機械いじりの好きなお父さんや工具を持っていれば、自分でも交換できますがチャレンジする人はあまりいないようです。アマゾンで見ると分かりますが、水栓単体では国産、外国製とも1万円していないものが多いですから。

*外国製を使う場合、ネジの径やピッチがあわないことが多く、別売のアダプターが必要になることが多い。また、ネジを締めるときはネジ山にあらかじめシールテープ(写真5)を巻いてからナットを締めると水漏れがしにくくなる。シールテープは薄いメンディングテープのようなもので\100 程度。DIY店で取り扱っている。

まめ知識13 給湯器、熱源の話し

前回バスタブの話しをしましたので、今日はそのお湯を作る熱源の話しです。
住宅の中で一番エネルギーが消費されているのは実は給湯とエアコンです。
一昔前、給湯器というとガス瞬間湯沸かし器でした。
現在は様々な種類があり、電気温水器、エコキュート、エネファームなどからも選択できます。
では現在、最良の給湯器は何になるのでしょうか?

電気温水器は主に深夜電力(通常電気料金の約1/2-1/3程度)を使って沸きあげたものを貯湯タンクに貯めておき使用するものです。お湯の蛇口を開くとタンクの下側から水道水が入り込み、上から熱いお湯が出て行くという簡単な仕組みです。夜11時から朝7時までに(現在は各電力会社とも様々なプランがあるので一例として)作った温水を使うため貯湯しているときに温度が下がるロスがありますが、深夜の電気料金が安いので、光熱費を押さえることができます。
これをさらに進化させたのがエコキュートです。電気温水器がヒーターを使ってお湯を作るのに対し、エコキュートはヒートポンプが熱源になります。エアコンで使っている室外機と同じようなもので熱を作っています。ヒートポンプとは冷媒のフロン代替品を圧縮したり蒸発させたりする過程で発生する空気中からの熱の移動を利用して暖かい空気や冷たい空気を作り出す機械です。エネルギー効率が高く従来の空調機よりも発熱効率が3-5倍良いといわれ、さらに日々効率は良くなっています。
エネファームは東京ガスで展開している燃料電池型の熱源になります。供給されている都市ガスはメタン(CH4)が主成分ですが、このメタンから水素を取り出し、それを空気中の酸素と化学反応させると電気ができます。(中学の理科で習う水の電気分解の逆ですね)その時に発生する熱でお湯を作るという一石二鳥のシステムです。ガスを使いますがあくまで燃焼で熱を得るのではなく化学反応の熱を捨てずに使っているところが優れていて、発生するエネルギー、電気と熱を効率よく両方とも頂いてしまおうという考えのものです。現在の問題点はそのシステムよりもむしろ機器の価格と法律にあります。法律?電気の買い取りのことですが、メタンから水素を取り出す時二酸化炭素も排出するため、電気の買い取り対象になっていないのです。そのため余分な電気を作らないよう、電気を一番使っている時間帯に稼働させ同時にお湯を作ることになります。使い切れなかった電気は放電させ捨てるほかありません。極端な話しお湯を沢山使う家庭の場合、お湯を作る時に大量の発電が行われますが、使われなかった電気は行き場を無くしてしまいます。そのような事態を防ぐため、コンピューターによって日常の使い方を把握し、補助のガス給湯機も使いながら足りないお湯を補給し、その家庭にあった発電が行われることになるという少々複雑なシステムになっています。
Wikipediaから、エネファームなどを含むコージェネの導入条件という項目を参照すると以下のようになります。
「建物内部で必要となる熱量を電力量で割った値を熱電比という。熱電比は建物の用途に酔って異なり、ホテルや病因では大きく、オフィスビルやデパートなどでは小さい値をとる。(すなわち、お湯をあまり使わないと言うことになります)
コジェネレーションシステムによって供給される電熱比が、建物の受容する電熱比と大きく異なる場合、コジェネレーションシステムを導入してもエネルギーを有効に利用することができない。また、住宅など熱需要の大きい時間帯と電力需要の大きい時間帯がずれている建物もあり、此の様な場合も大きな省エネルギー効果を期待することはできない。」
と言うことで複雑な制御が必要になってくる訳です。
コジェネレーションという言葉が出てきましたが、現在一般的には大規模な建物や地域で行われている総合的なエネルギーシステムで、5万平米を目安としてそれを超える大規模な工場や新宿副都心の超高層ビル群などで採用されています。
ガスタービン、ディーゼルエンジン、ガスエンジンなどで発電し電気を造るだけでなく、発生した熱を回収して冷房や給湯に使うことで総合効率で70-80%以上を誇る省エネルギーシステムです。日本の一般的な火力発電所も1970年代には40%程度だったのを最新の発電設備では企業の努力でかなり効率を上げてきていますが60%程度です。また現在の全世界での平均総合効率は40%と言われています。ちなみに皆さんがよくお世話になっているガソリンエンジンは20-30%で、車を動かすこと以上にメカニカルロスで奪われたり熱として捨てられているのです。

未来の予想になりますが、では住宅の熱源の最終的な行き先はどこになるのでしょうか?
私の考えでは究極の熱源は水素で、燃料電池と呼ばれる発電装置と組み合わされたものではないかと考えています。何故なら水素は水から作れるからです。原料となる水素はガスの中から取り出す以外に、製鉄所、ソーダ工場などで副次的に発生してしまう副生水素を利用することができます。エネファームだけではなく将来的には自動車も燃料電池に行き着くと云われていますが、現在各メーカーで研究実験が勧められておりさらに効率がよく安価なものを目指しています。また、燃料電池を大規模なシステムで使う技術は現在開発中です。

以上のことから考えると、現在2014年時点ではエコキュートがシンプルで一番使いやすい省エネ給湯器と言えるでしょう。機器の値段が下がってくればエネファームも選択しに入ると思います。両方ともある程度の大きさの設置場所を必要としますから狭い場所やマンションなどで手軽に使うとなるとまだガス給湯器に軍配が上がる、というのが私の結論です。

追記:住宅のエネルギー消費量はどのように変わってきているか。ご存知ですか?
エネグラフ

上のグラフがその変化を表したものです。
1970年当時と比べると年々右肩上がりに増え続け、2008年には約2.8倍に増えていますが、近年は落ち着いてきて高止まり状態です。
上のグラフから暖冷房で使うエネルギーよりも給湯で使うエネルギーの方がわずかですが多いことが分かります。
給湯のエネルギー消費量はとても大きな割合を占めていますから、給湯器の熱源や効率についてこだわるのです。

参考までに、右下のグラフは日本の家庭の消費電力の内訳になります。家庭で使われている消費される電力はエアコンが約1/4ですが、電力で給湯をしている過程が少ないので総量で見るとその他に含まれます。電気温水器やエコキュートにするとエアコンと同量の消費ということです。

まめ知識12 バスルーム、浴室についてのいろいろ

ここ20年程で浴室=ユニットバスということが世間一般では定着してしまったようです。
浴槽、バスタブの話しをしていたら建て主はユニットバスの話しをしていて話しが噛み合なかったという話を知り合いの建築家から聞きました。
現在ではほとんどの建て売り、メーカー住宅はユニットバスを使うようになりましたが、自由度の高い在来工法で作られたバスルームはやはり魅力的で一軒家を建てるなら是非採用したいと考えています。

ユニットバスが主流になる前、在来工法で造られた浴室にはバスタブの埋め込み型が主流でしたが、最近おしゃれなバスとして据え置き型のバスタブも多く使われるようになってきました。ではどちらを選ぶか?結論から言うと、好みの問題になります。またまた、いい加減な結論ですね。でも各々長所、短所があるのでそれを知っておくのは有用でしょう。スタイルが良いからという単純な理由だけでなく、なかなか奥の深い問題をもっていますので、今日はそのことについてお話ししたいと思います。
木風呂
ユニットバス以外では現在の定番は埋め込み型です。その昔、昭和30年代頃までは木製の風呂桶をモルタルのタタキの上に置き、洗い場は木製のスノコというのが一般的でした。正確には銭湯に通っていた人の方が多かった、でしょうか?木製の風呂桶は何年か経つといきなり底が抜け、我が家でもその度に大騒ぎをしたものです。そのうちに丈夫な青いポリバスに取って代わられ、その後より綺麗な浴室を!ということから埋め込み型の浴槽に代わって行きました。そして現在、おしゃれなバスルームには置き型の浴槽、という選択肢もでてきました。ちなみに色が青であったのは銅管を使った配管からでる銅イオンがバスタブを青く染めてしまうことが多かったからと推測されます。
置き型→埋め込み→置き型とタイプが定まらないのは単なる流行だけでなく、それぞれに長所、欠点があって評価が定まらないからでしょう。
埋め込み型ですが、一件綺麗で清潔なバスルームができるように思いますが、実は汚いところを見えなくしているだけです。また埋め込んでしまうため、一回トラブルが起きるとかなり大掛かりな工事となってしまいます。10年、15年後にメンテナンスのため浴槽の裏を見ると、見たくないものを見てしまった!と思われることもあります。浴槽裏に換気扇を付けて裏面を乾燥させていれば綺麗に保てるようですが、なかなかそこまではやりません。
風呂裏カビ
写真は置き型バスの裏側一年放置した状態

一方、置き型ですが壁に寄せて設置すれば隠れた壁と浴槽の下は当然汚れます。どの程度汚れるかは使用状況にもよりますが、我が家の経験から言えば年に二回程掃除をしているとそれほどひどい状況にはならないようです。浴槽の真下が一番汚れがひどいように思われますが、実は真下の暗い部分より多少光の届く周りの方が汚れがひどいのは考えていなかったことでした。掃除の時に動かしたくなるので、現在はやりの置き型バスではホウロウ製の重いものはさけ、アクリル製の軽いものを使っています。

バスタブの埋め込み型と置き型の違いはバリアフリーも関係します。一般的に浴槽の深さは50cm程度、半洋風のもので45cm程度です。埋め込み型の場合またぎの高さを35cm程度で設計することが多いので、浴槽の底は浴室床面より15cmほど低くなります。エプロンを低くしたり深い浴槽の場合20cm程度になることも少なくありません。これはちょうど階段一段分の高さになる訳で、お年寄りが使用すると前につんのめる姿勢になることがあり、注意が必要になります。一方置き型のバスタブは一般的にまたぎの高さが50cm程度で昔のポリバスのようには高くなく、バスタブの床面は逆に5-10cmほど高くなりますが、私の経験からいうと置き型の方が楽に出入りできますので、デザイン面だけではなく機能的に置き型のバスを選ぶ選択肢もあると思います。
さて、バスタブの材質ですがこれも様々あって選択には迷うところです。
大きな流れで流行を見てみると、昭和30年代の木製→青いポリバス→ホウロウ製やステンレス製→人造石風硬質プラスティック→アクリル製バス。という流れになります。前述したように木製の浴槽が耐久性に問題があったためあっという間にポリバスと呼ばれるFRPを主体にして表面ゲルコート仕上げしたのものに取って代わられました。ゲルコート仕上げとはメス型の型材にあらかじめゼリー状の樹脂を塗ってからFRPの成型を行い、型から抜くとツルツルの仕上になる方法をいいます。プレジャーボートなどもこの方法で造られています。
埋込バス
写真は人造石風硬質プラスティック製埋込型バス

ただし所詮はプラスティックですから重厚感と高級感が無く、傷がつくと光沢感もなくなるため次第に飽きられ、昭和の終わりから平成始めにかけては高級品としてホウロウバスが多く使われるようになってきます。ホウロウバスには鉄板ホウロウバスと鋳鉄ホウロウバスがあり高級感を求める人には高価な鋳鉄ホウロウバスが選ばれるようになりました。しかし、冷たい、ホーローが欠けることがあるなどの欠点が嫌われその後は各浴槽メーカーが開発した人造石風のプラスティックバスが主流となり、現在に至っています。一部外国メーカーが採用していたアクリル製バスですが、傷がつきやすかったポリバスのゲルコート表面仕上部分をアクリル製に代えたもので、光沢があり圧倒的な高級感があるため、最近人気がでてきています。FRP素地でバスタブの型を作った後、熱して柔らかくなった数ミリのアクリルの板を真空吸引してバスタブの型に接着して製造しています。アクリルはプラスティックの中では一番傷がつきにくい固い材料ですから長い間光沢が保てるのが特徴です。
当初は外国製のジャクソンなど高級品しか日本では手に入りませんでしたが、現在は中国や東欧で同じような品質のものが安価で作られるようになり、一般住宅や賃貸集合住宅でも十分に使える値段になっています。
下井草バス
写真はstudioA設計、下井草APのバスルーム(賃貸)

また耐久性に問題のあった木製浴槽ですが、材種や防腐剤などの研究で最近は比較的長期にわたって使えるものもあります。スーパー銭湯などで使われているのでご存知の方も多いと思いますが、古代檜と呼ばれる台湾で取れるヒノキを使った浴槽が一時ブームになりました。しかし現在は伐採が禁止されているため各社の在庫分しかなく、残念ながら今後大きく増えることはなさそうです。
その他鋳鉄ホウロウバスは未だに根強い人気がありますが、ステンレスバス、ポリバスはかなり減っています。
バスタブなどの細かい部分で比べて見ても住宅はかなり変化し、贅沢なものになってきているのが分かります。

まめ知識11 雪の重さについて

雪の重さについて
2週続けて関東地方は大雪に見舞われました。東京で27cmの積雪。
気象庁の予報はいつも少なめに感じますが、実際に屋根に積もった雪の量に比べると半分くらいの感じになりますね。我が家も屋根の上は50cmほど積もりました。
この歴史的な大雪で東急子供の国駅のホームの屋根、また八王子ではアーケードの屋根が崩壊しました。その他ご近所でもカーポートの屋根が崩れたりしたところが多いのではないかと思います。

そこで心配なのが自分の家は大丈夫なのか?ということでしょうが、何故崩壊したのかと、どのくらいまで大丈夫なのかを説明してみたいと思います。

構造の計算をする時、屋根などにかかる荷重は3つに分けて考えています。崩壊する荷重と長期荷重と短期荷重です。
崩壊する荷重というのはその名の通り、その重さがかかると壊れてしまうと言う重さです。
長期荷重というのは常にかかっていても大丈夫な重さで、安全性に大きく余裕を持たせて崩壊する荷重の 1/3をみます。短期荷重は短期の間(3ヶ月)であれば屋根にかかっても安全な荷重で、崩壊する荷重の2/3までと想定しています。

建築基準法では雪国の建物についてはある程度の雪が屋根にのっても大丈夫な強度を要求しています。例えば富山の場合は1.5mとか、自治体が条例で一定の量を規定しています。関東地方などではどうかと言うと30cm-40cmで、八王子など寒い地域は40cm、その他横浜や東京23区では30cmです。
一方実際の雪の重さですが、先週のようなさらさらとした雪は1m2、1cmあたり2kg、今週のようなべたっとした雪は3kg程度です。東京の場合は2kgで計算します。
以上の条件から計算すると、東京近辺では雪の荷重として1m2、1cmあたり2kgで30cmですから60kgの荷重を想定していることとなります。(ちなみに富山では300kg!)今回の雪の場合50cm積もりべたっとした雪でしたから3kgx50cmで150kgですから相当想定値をオーバーしていますね。
でも大丈夫です。実際の建物で説明すると、屋根が直接支えている屋根自体の重さと天井の重さは30kg/m2程度ですが、一般的には100kg/m2以上の長期荷重を見込んで設計しています。これは崩壊する荷重に置き換えると300kg/m2、短期荷重ですと200kg/m2に当りますから、3ヶ月間であれば200kgの重さに耐えるということになります。屋根面が支えているものは屋根の仕上とその下にある天井になりますが、この重さは1m2あたり30kg程度ですから、その分を減じても短期的に170kgの重さが屋根の上にのっても崩壊しないということになります。
ちょっとややこしくなりましたので簡単に積雪量で表すと、東京などあまり雪の降らない地方の場合
さらさらした雪で85cmまで
べたっとした雪、雨などの水を含んだ雪だと57cmまでは十分に安全ということです。
崩壊に至るのは
さらさらした雪で135cm
べたっとした雪で90cmになります。
崩壊する前にはたわみが出たり、色々と不都合なことが起こりますから上記の計算上の数字までは安全とは言い切れませんので短期荷重を超えたら(さらさら雪で85cm、べた雪で57cm)雪下ろしと考えるのが良いと思います。

では、なぜホームの屋根やアーケードの屋根が崩壊したのでしょうか?
ホームやアーケードなどは折板屋根一枚で葺かれていますから、雪の荷重以外ほとんど支えなくてはならないものがありません。積雪荷重だけでぎりぎりの構造計算をしたのではないかと思います。ようするに基準法で求められている2kgx30cmの1m2あたり60kgの短期荷重です。重い雪が30cm積もってしまうと90kgになって崩壊する荷重90kg/m2になってしまう訳です。30cm以上積もったか、風やら色々と悪条件が重なってしまったのでしょう。

では良く見るカーポートはどうだったのでしょうか?
カタログを見ていただけると分かりますが、買う側が色々と想定して強度を決めなくてはなりません。雪国仕様として鉄骨で補強したものをオプションで扱っていたり、柱の本数を増やして雪対策を考慮するなどできるのですが、実際、ほとんどは積雪荷重は十分な余裕を持って考えずに設置しているようです。価格が高くなることもあり積雪荷重まで考えていられないというのが現状です。
特に柱が片側だけにしかない方持ちタイプのもの、雪が落ちにくい平面屋根は弱いようですから、早めの雪下ろし、つっかえ棒での補強が必要となります。

まめ知識10 本当に適正な住宅の規模広さとは?

10 本当に適正な住宅の規模広さとは?

時代が変わり、場所(国)が変われば大きく変わるもの。それが住宅の広さです。
顕著な例として戦後の焦土と化した日本です。1946年に臨時建築制限令が出され、不要不急の建築は禁止され住宅の床面積は15坪に制限されたのです。(翌年の法令施行の段階で18坪にまで緩和)この広さは現在のワンルームマンション2軒分程度の広さしかありません。
当時の建築雑誌を見ると、増沢洵自邸ー最小限住宅などの名作が見られ現代の小住宅などでも参考にせれています。(写真下)

増沢自邸
増沢洵設計 最小限住宅 1952年


時代は変わり2006年の統計が下表です。
(統計のある17カ国で比較)

  国別に見た一件あたりの平均面積は(m2)
   1位 アメリカ     162
  2位 ルクセンブルグ  126
   3位 スロベニア    114
   4位 デンマーク    109
   5位 日本       94
   6位 オーストリア   92
   7位 フランス、トルコ 90
   8位 イギリス     87
   9位 チェコ      84
  10位 ポルトガル    83
 (日本は世界で第何位? 岡崎大五著/新潮新書より)

ということで、決して「ウサギ小屋」*)では無いのです。
サンプル数が少ないため5位は言い過ぎでかもしれませんが、フランス、イギリスよりも大きいことは確かです。もう少し詳細に見ると国土交通省2003年の土地統計調査では持ち家125m2、借家48m2、平均96m2となります。持ち家に対して借家が圧倒的に狭いことが特徴として分かります。
アメリカの162m2、49坪は別格として、坪数で換算すると2位の126m2は38坪、10位の83m2は25坪ですから普段設計している住宅とそう変わりありませんし、皆様の住宅も世界基準の広さで2-4位の範囲に入るものがほとんどではないかと思います。

住宅の無料相談会などで圧倒的に多いのが35-40坪程度の広さを要求される方です。予算や敷地が十分であればまだ良いのですが、一軒家はこのくらいの大きさが無くてはいけないとか、広さにあこがれがあるようです。
現在住んでいる借家のアパートやマンションの広さを伺うと20坪程度とのこと。では今の広さに6畳間が二つついていれば良いですかと伺うとほとんどの方はそれでOKだと答えます。計算するまでもなくそれであれば26坪で良いはずなのですが、一軒家だと35坪、ないしは40坪は無いと・・・??と不思議な話しになってきてしまいます。ちなみに我が家は4人家族で26坪です。

地球家族と言う面白い本があります。世界各地の代表的な住宅一件を選び、その住宅の前で写真を撮ったものなのですが、住宅の中に入っていた荷物はすべて外に出して撮影されています。その中で圧倒的に荷物の多いのが日本の住宅でした。

日本地球家族
標準的な日本の住宅に納められているモノ

前面の道路一杯に生活用品が運び出され、よくもこんなに沢山の品々が納まっていたなと感心させられる程です。しかしこれは特別な例ではなく一般の家庭にごく普通にあるものが写っているだけです。一番少なかったのは遊牧民の住宅やアフリカ、インドの住宅でした。(写真下)

モンゴル地球家族
モンゴル遊牧民。住居は折畳めるゲルと言う木製の骨組みにウールをかぶせたもの。

インド地球家族
インドの例

我が国の住宅の荷物の多さにもビックリですが、クエートの写真左下の方に写っているのはソファーです。20-30人用でしょうか?

クエート地球家族
クエートの例

また、イタリアなどのヨーロパ先進国の住宅の荷物と比べてみるのは日本と比較しやすく面白いかと思います。

イタリア地球家族
イタリアの例


絶対的な広さもさることながら、その中に運び込まれる荷物のことも一緒に考えると広い家がほしいと言うことになってくるのでしょう。広さだけではなく収納される荷物の量も一緒に考えた方が良さそうです。

近代建築の巨匠ル・コルビュジェが晩年に建てたカップ・マルタンの休暇小屋(写真下)は何と8畳の広さしかありませんでした。コルビュジェはとても気に入り毎年夏冬、夫婦でここに過ごしたと言います。

カップマルタン
コルビジェが晩年を過ごしたカップ・マルタン


これは極端な例ですが、荷物の量と住宅の大きさが強く関係しているのが分かります。

*)フランス語のcage a lapins が英訳された時に誤訳され本来は「都市型の集合住宅」と言う意味であったが、英訳で誤訳されそれが広まった。

まめ知識09 防火戸サッシについて

皆さんはご存じないかもしれませんが2013年の年末、実は建築の住宅業界では大変なことが起こっていました。
住宅によく使うアルミサッシの防火戸認定が無効、販売停止になったのです。

防火地域、準防火地域に指定された地域では、防火戸を使わなくてはいけない箇所があります。敷地境界線からの距離が一階では3m、それ以外の階は5m以上離れていない箇所の開口部は防火戸にしなくてはならないとなっています。
ではそのような地域が防火指定されているかと言うと、東京23区内では公園や川の近くを除きほとんどの場所で準防火地域が指定されており、幹線道路沿い、駅周辺などがそれよりも厳しい防火地域に指定されます。地方都市ですと駅周辺の高いビルが建っている地域が防火地域、駅から2-3km圏内が準防火地域指定といった感じです。東京の建築家は大騒ぎしていたけど地方の建築家はあまり気にしていないと言った方が分かりやすいでしょうか?
東京23区内や横浜の住宅地だとそのほとんどが準防火地域に指定されているので、隣家が近くまでせまっているような敷地では防火戸が必要な開口部が玄関を含め何箇所もでてきます。そこで我々設計者は安くて防火性能があるアルミサッシに網入りのガラスをいれて防火戸として使ってきたのですが、その防火戸が昨年暮れで認定を取り消されてしまったのです。

原因はカーテンウォール防火開口部協会が国土交通省に出していた通則認定という制度にありました。通則認定とは膨大な数とバリエーションのあるアルミサッシを一定の設計条件を満たした製品であれば一体ずつ燃焼検査をしなくても防火戸として認めますという制度で、今までのアルミサッシはすべてこの通則認定をもとに新製品などの防火戸認定を取っていました。

一部防火認定品に偽装試験を受けるなどの問題が発覚したため、国土交通省は既に認定を受けている様々な防火認定品の抜き打ち検査を2010年ごろから行ってその性能を確かめていましたが、それに今回アルミサッシが引っかかってしまったのです。以下、2010年11月24日のケンプラッツの記事です。
「国土交通省は現在、三協立山アルミ製のアルミ樹脂複合サッシ「マディオJ」の防火戸仕様について、販売停止と性能評価試験受験を求めている。サンプル調査で遮炎性能が不足していることがわかったためだ。この防火戸は国土交通大臣認定に基づく製品だ。炎にさらされても20分間にわたって炎が燃え抜けない性能が求められるが、実験ではそのわずか半分の時間しかもたなかった。断熱サッシの防火戸仕様を巡っては、エクセルシャノンなど5社による樹脂サッシの認定違反事件が09年1月に発覚している。それから2年足らずで、問題が複合サッシへ“延焼”した格好だ。」
ちょうどその頃、木製防火戸の認定を受けるため試験場に頻繁に出入りしていたのですが、アルミサッシの相当数が抜き打ち試験で落ちているという噂でした。これは大変なことになるなと思っていたのですが、樹脂サッシの不合格品発覚から始まり複合サッシに飛び火、そして一部の通常型アルミサッシにも不合格品がでて、3年前の三協立山アルミだけではなく経過措置を経て昨年一杯ですべてのアルミサッシ通則認定品の防火戸販売が取り消されたのです。

そうなると各メーカーは膨大な種類と大きさのアルミサッシすべて個別の燃焼試験を受けなくてはならなくなります。ガラスの種類が変わるだけで燃焼試験が必要になりますから、膨大な費用と時間がかかってしまう訳です。例えば複層ガラスで一回、単板ガラスで一回、省エネLow-Eガラスで一回という試験を大きなテラス用引違いサッシ、小さな窓用引違いサッシ、当然すべり出し窓や片開き窓のように形式が変わればその各々で試験をしなくてはなりません。ちなみに我々が行った木製防火戸の試験の時、呼び検査も含め一つの認定を取るのに約半年の期間と300万円が掛かっています。

具体的に今でている問題点を述べると今まで20万円弱だった引違いのアルミサッシは50万円近くまで価格が跳ね上がりました。またガラスの種類も自由に選べなくなってしまい、試験を行った数種類から選ばなくてはならなくなりました。それよりも深刻なのが年末の時点では試験の時間に間に合わなくて、引違いのアルミサッシしか認定を取っていない会社がほとんどで、しかもサイズは巾が2m以下、高さも2.2mまでという普通のサイズしかバリエーションがないのです。玄関ドアも防火戸認定を受けているものは各メーカーとも数種類の品揃えに減り、値段も50万円程度になってしまいました。スチールサッシを製作で作った値段よりも高い状況です。設計の自由度ががくっと減ってしまった、またはお金がかかるようになってしまったという訳です。

以上は設計者として深刻な問題点でしたが、もうお気づきかと思いますが「では我が家のサッシは大丈夫なの?」ということでしょう。今回は既に竣工している物件のサッシについては既存不適格とはするものの、強制的に交換しなくてはならないなどの措置はとっていません。1981年に耐震基準が変わり建物の構造的な見直しがされた時、既存の建物は「既存不適格」となりましたが耐震補強を強制しなかったケースと似ています。

抜き打ち検査の結果からいえば、「樹脂サッシ」という結露を防ぐために建具のほとんどがプラスティック樹脂で製作されているものはほとんど防火性能が発揮できませんでした。通常のアルミサッシは試験に落ちるものがあったり無かったりだったようですが、今回通則認定度で認められていたすべてのサッシを不適合としたため、防火戸としては認められなくなったわけです。防火戸が要求されている場所かどうかはガラスに網が入っているかどうかで判断できますので(耐熱強化ガラスの場合はシールで確認できます)、気になる方は確認してみて下さい。

嫌なことばかりかいてきましたが、実際防火戸の性能はむしろ使い方で大きく変わります。ドアの場合きちんと締まっていなくては防火戸にならないのと同じように、アルミサッシが防火性能を発揮するためにはきちんとクレセントをかけておかなくてはならないからです。「火事だっ!」という時に、家中のサッシのクレセントやレバーをきちんとかけて逃げる人はなかなかいないと思います。しかし、クレセントをきちんとかけないとサッシの中央部が熱でたわんで隙間ができ、そこから火が入ってしまいます。

また、最近は網入りガラスの代わりに耐熱強化ガラスが使われることも多くなってきましたが、これも実際は問題があります。消火活動が始まり水がかかると急激な収縮が起きて割れてしまい、防火戸の性能を発揮できなくなるからです。
このように使用上の問題点も多々あるのであまり神経質になることは無く、近所が火事だという時にはクレセントをかけるというように、現状の性能を十分に発揮できるようにすることを心がけるようにするのが良いかと思います。我が家でも同じ問題がありますが、そのように考えるようにしています。

最近の小型車乗り比べ

「まめ知識」の合間に、ちょっと車ネタで。

国産のヴィッツ(TOYOTA、約110万円〜)、ノート(日産、約125万円〜)、フィット(HONDA、約125万円〜)、デミオ(マツダ、約150万円〜)と外車のコンパクトカー、ゴルフTSI(約250万円〜)、ミニクロスオーバーONE(約270万円)という同じような大きさの車を乗り比べることができたので一言書きます。
同じクラスと言っても国産と外車では価格も倍以上違うので比較にならないかもしれませんが、国産車の中ではデミオが桁違いとまでは言いませんが一番しっかりとしていました。走りもしっかりしています。
ヴィッツとフィットはなんとか我慢して乗れる程度。営業車なら我慢もできるかな。
ノートには「乗りたくないな、たとえ営業車でも」といったところが私の感想です。

では外車の二台はと言うと、
MINIは最低クラスのONEでも結構楽しく乗れます。しばらく乗っても良いかなっと思うくらいでした。クーパーやクーパーSだとかなり楽しめそうですが、値段もそこそこになりますね。ただスイッチ類の配置と操作が独特で、慣れるのに時間がかかります。

そしてGOLF TSI 1200cc。
正直、ぶったまげました。これで1200cc?
2000cc並みの走りで、燃費もリッター20km。DSGトランスミッションを経験するとマニュアルでコキコキやっているのがアホらしくなってきます。
小さなエンジンにターボを付けるってこんなことなんですね。省エネ対策での日欧の方針の違いがはっきりと分かります。

ということで、GOLFより高いMINIは一気に評価を落としました。というか、GOLFが凄すぎます。ただ、やはり独車の優等生ぶりは相変わらずで、音に関してはなんにも楽しくない。マフラー代えると楽しくなるんでしょうか?エンジンの本質的な問題のような気もしますが・・・分かりません。

少し前の話になりますがイギリスBBCの車番組、Top Gear という番組を日本でも深夜に放送していました。番組でコメンテーターがゴルフGTIとアルファ147GTAを乗り比べた特集がありましたが、二人ともゴフルを絶賛!アルファは面白いけども・・・・と文句も出て、煮え切りません。それでは自分の車として乗るのならどちらを買いますか?と質問されると二人ともそろって「絶対に147GTA!」ですって。
今回乗ってみて分かったのですが、ゴルフってとてつもない優等生なんですけれどそんな車だと思います。

ちなみに TopGear の番組紹介をWikipediaより抜粋で
日本ではあり得ないとんでもない番組です。日産を始め各自動車メーカーから訴訟もされているとか。

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あまりに低品質な車(当時のヒュンダイ・アクセント)に対して「なんだっけこのクルマの名前?えーっと、アクシデント(=「事故」)だっけ?」などの発言が放送された上、「奴らは家電製品のつもりで車を作ってやがる」、「韓国車なら僕らにだって作れる」と言って洗濯機、乾燥機、電子レンジなどの廃家電を組み合わせて作った自作の“車”(一応、前進・後退が可能)を紹介するなどした。
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まめ知識08 番外編 土地とお札の大きさ

土地の値段の格差が気になります。住宅の設計に携わっているからなのでしょう。地方の場合土地の値段と建物の値段を比べると1:3ぐらいの割合で建物の方にお金がかかるのですが、東京近郊になるとこれが逆転し2:1程度で土地にお金がかかってしまうことが多くあります。設計をしている側からするとちょっと腑に落ちないところがあるのですが・・・

というのはお金の話になって恐縮なのですが、たとえば東京で5000万円の土地と2500万円の建物となった場合、土地の取引は売るときの不動産手数料が3%、同じく買うときの不動産手数料が3%になりますから、同じ業者が取り扱うとその不動産屋さんには合計6%、300万円の手数料が入ります。この値段は2500万円の住宅の設計監理料とほぼ同じです。ちょっと空しくなります。

さて、愚痴はこのくらいにして土地と建物の比が1:3と2:1ですから同じ3000万円の家を建てる場合、地方だと土地の値段が1000万円、広さは70坪位となるのに対し、東京近郊ですと土地の値段が6000万円、広さは30坪程度になってしまいます。

地方都市で3000万円の家というイメージは車が2台停められて広くはないものの十分な庭が取れる、といった感じです。
一方東京ですと車が一台、庭というよりは箱庭に近いもので、玄関のすぐ先が道路で場合によっては木造3階建てというイメージに変わってきます。
同じ3000万円の家でもだいぶイメージが変わってきますね。

ここでちょっと変な計算をしてみました。お札を土地に敷き詰めるといったい幾らになるのか?
一万円を一坪3.3m2に敷き詰めると約270枚、270万円になります。1000円札ですと27万円ですね。

270万円というと目黒区の東横線沿線など、あこがれはするもののちょっと高くて・・・というあたりの値段です。
地方都市は何故かほぼ全国同じような値段で、県庁所在地やそれに準ずる都市、たとえば山形市、秋田市、富山市、甲府市、浜松市などで便利な高級住宅街が坪単価で20-30万円です。
偶然なのですが、この両者の値段は都心の住宅街の坪単価と地方都市の住宅街の坪単価とほぼ一致していることが分かります。
一万円札がびっしりと引き詰められているとなると土地の境界石が動いたとか、目くじらを立てたくなるのも分かる気がします。東京の土地って本当に高いですね。

では海外の土地の値段ってどうなのでしょうか?
何年も前ですがイタリアにいる知人から聞いた話しでは、2億円で土地と建物が売りに出されているとのこと。その内容を聞いてびっくりしました。フィレンツェの郊外になる田舎の話しですが、広さが2ヘクタールで建物は20ベットルーム、
というところまではスケールは違うものの日本の不動産広告と変わりません。が、そのあと
敷地の中には小川も流れていて猟もできます。
牛が5頭と馬が2頭、もちろん牛小屋、馬小屋付き。
お世話をするメイド夫婦の家が、住む人間ごとついています。・・・エエッ!
もちろん人身売買ではなく、一緒に面倒を見て下さいということなのですが。
土地や建物に対する文化の違いだなと考えざるをえません。

また、数年前にTV番組で話していたのですが、アフリカ(確かケニア?)で土地を好きなだけ差し上げます。というびっくり放送がありました。100年近くの借地で代金をきちんと払うこと、その土地を活用すること等だったと記憶しています。*1)
これまた政府の土地に対する考え方の違いなのですが、色々な考え方があるものだなと感心させられました。

さて土地探しで苦労されている方も多いと思いますが、土地探しって本当に大変ですよね。もっと良いのがでてくるのではないかとか、値段がちょっと・・・などなど。

studioAでは土地探しからおつき合いした建て主の方も多くいますが、土地を決めるときと中古車を選ぶときの感じが結構似ているように感じます。車で例えるのもどうかと思いますが今まで十数台中古車ばかり車を乗り継いできた経験から、細かなところを緻密に調べてどの車が良いかを決めるよりも、結構第一印象が大事だということです。

中沢新一(思想家)の著書、アースダイバーでは昔の人が神聖な場所として扱っていた土地、場所は現在感じ取ることができ、町歩きをしていてこの界隈はちょっと雰囲気が違うなと思ったところは十中八九、洪積層と沖積層の境目であり、かつては岬状に海に突き出ていた海と陸地のはざまになっていた場所で、多くの神社がその縁に沿って建てられているといいます。

土地のロケーション、値段、便利さなどどれをとっても満足な水準なのに、何故かぴたっとこない。などという時、直感をもっと信じても良いのではないでしょうか。例えば住んでいる住民の生活と自分の生活が合わないとか、ピリピリした神経質な人が多いとか・・・そのような雰囲気を人間は結構敏感に感じ取っているので、不思議です。

ある工務店の社長が話していたことですが、工事を始める時その敷地の周りに野良猫の多い場所は工事がやりやすいと。野良猫の悪さなど些細なことは大目に見る人が多く、和やかな雰囲気で工事が進められることが多いのだそうです。
今年からは”経験”と”感”をもっと信じましょうか?

*1)アフリカの土地に関する法律、条例はまだはっきりと整備されいない場合が多く、頻繁に変わっている。近年では外国資本による広大な土地の購入を防ぐ動きもあり、急速に法などの整備が進んでいる。大都市近郊での土地の値上がり、農地への規制など不安定な要素が強いと聞く。

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まめ知識 07家掃除のコツとポイント

家の掃除のコツについて。
大掃除の時期になりましたので、参考までにこんなものを書いてみました。
一部2年前のブログで紹介したものの再掲載になりますが、そこで取り上げていた掃除用具の電動ブラシ、刷毛、空気清浄機の紹介と掃除の要点を書いてみます。
道具は2年以上使ってみて費用対効果の高いものばかりです。

まず最初は刷毛!(写真1)

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至ってシンプル、でも非常に効果的でみな使っていないものを紹介しましょう。
新築住宅が竣工して引き渡しまでには通常「掃除屋さん」というプロが掃除をしに入りますが、彼らが必ず使っているのがこのペンキ塗り用のブラシです。
非常に便利なので事務所と我が家(上下に重なっているだけですが)一本ずつ備えてあります。いつの間にか所員の机の引出しに入っているのも発見しました。自分で買ってきたんですね、きっと。
アルミサッシの下端など凸凹したところには特に威力を発揮します。アルミサッシの下端は掃除がしにくく、ホコリやカビの溜まりやすいところですが、このブラシを使うとかなり綺麗になります。汚れがこびりついてしまっているような所は水を流しながら掃除すると良いようです。年に2回掃除すればいつも綺麗に保てます。
コンセントプレートの上側もホコリの溜まりやすいところです。刷毛でさっとこすってやるとホコリは簡単に落ちます。
コンセントと言えば、冷蔵庫です。本体の裏になっている場合も多く、目につかず掃除のしにくいところですがホコリや油まじりのゴミ等が付着しやすく消費電力も高いことから、漏電を防ぐためにもこの際綺麗にしておきましょう。
コンセント周りのホコリですが、漏電や事故につながることもありますから一年に一度は掃除しておきたいものです。
固めの刷毛の方が掃除には都合が良いようです。

ばかばかしいと思いながら買ってしまった電動ブラシでしたが・・・(写真2)

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次なる武器は掃除用電動ブラシ。私はソニックスラバーという製品を使っています。大きな電動歯ブラシのようなもので特に室内の壁、床、水回りのごちゃごちゃしたところで有効です。台所、洗面所の水栓の付け根や床と壁の入り隅はゴミがたまり安くかつ掃除のしにくいところですが、これがあれば隅まで綺麗に掃除できます。掃除をしているときに歯ブラシを使いたくなるような場所に有効ですね。
我が家の壁は珪藻土クロスという壁紙を貼っていて、表面に珪藻土が付いていてザラザラしています。見た目は上品でよいのですが、汚れやすいのが欠点。といっても汚すのはもっぱら子供達ですが。この様な場合も水か洗剤を吹き付けた後このブラシで掃除するとあっという間に綺麗になります。たわしの代用品ですので電動でなくてもたわしでごしごしやれば落ちるものがほとんどですが、やはり電動の威力は実感できますし、掃除も楽しくなりますよ。
代えブラシ4本付いて3000円位~

メッキ製品、水栓類(写真3)

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道具ではないのですが、注意して掃除をしないとメッキの輝きが無くなってしまいますので一言。
水栓類ですが、大きく分けて国産品と外国製でその性質は大きく異なりますから述べておきましょう。
概して国産品は無骨だが丈夫、海外製品はデザイン性が高いものの繊細、と言えます。
20年近く前は海外製品はかなりデリケートで、ヨーロッパと比べ水圧が弱い日本では、一部ドイツの製品を除いて使いたいけれど使えない状態でした。最近は日本の水圧も高くなり、また日本向けに作られた海外製品が比較的安い値段で手に入るようになったため、水栓、シャワー類は海外製品を多く使うようになっています。製造は中国や東欧諸国になります。
何故日本製ではないのかというとメッキが綺麗でデザイン性も高く、使うたびにうれしくなるからです。
掃除時の注意として、メッキ部分はあまりゴシゴシとこすらないことにつきます。ナイロンタワシやスポンジの裏側についた固いごわごわの部分を使うのは厳禁です。例えると車を磨く時をイメージしてもらうと分かりやすいかと思います。車の汚れがひどいからと言って、ナイロンタワシでこする人はいませんよね。また柔らかいタオルでゴシゴシやるのも同じように細かい傷が沢山ついてしまうのでやめた方が無難です。(私はやってしまいました!)
汚れに関してですが、日本の水道水にはカルシウム分が含まれているため水滴が残ったまま乾燥すると白く濁ってしまいます。すぐに取ればなんでもないのですが、同じことが何回も繰返されることでカルシウムがメッキ部分にこびりついてしまい、いつの間にか輝きがなくなってしまうのです。ゴシゴシこすれば落ちるのですが、これはだめですから重曹を使うことをお勧めします。食品売り場にある灰汁抜き用の重曹でOKです。メッキ部分で特に汚れやすいのがポップアップ式の洗面器の蓋部分です。蓋はねじると外れますから、部品を洗面器から外してやって重曹適量を溶かした中にメッキ部分を入れておくと1時間程で白い汚れが簡単に落ちるように変化しています。水栓の根元等が汚れてしまった時や外すのが面倒な時は、重曹を溶かした液をキッチンペーパー等に浸してからしばらく巻いておけば大丈夫です。

レンジフード(写真4 高島屋のつやつやレンジフード洗浄パック12600円より)
レンジフード掃除

studioAの設計では多くの住宅で台所の換気扇にレンジフードを選択しています。レンジフードはシロッコファンという円筒状の羽根のファンを使っていますがこのタイプ、強力ですが掃除のしにくいのが欠点です。メーカーは掃除をしなくても汚れないようにフィルターや清流板など様々な工夫をしてますので、通常は油溜まりと金属板に細かい穴の空いているフィルターを綺麗にすれば大丈夫ですが、やはり時間とともにファン本体にも油汚れがついてきます。まずはファンがどのくらい汚れているかチェックして、汚れているようであれば今年は思い切ってこのファンの掃除をしてみましょう。
ではファンにたどり着くまでの一般的な手順です。(メーカーによって多少の違いがありますから、詳しくはメーカーのHP等参考にして下さい)
レンジフードを見上げると四周に隙間がある板状の部品があります。(昔のレンジフードにはついていません)製品によって違いますが左右の押しボタンやネジで外れます。外す前に油溜まりを外さなくてはならないものもありますから、分からない人は製品についていた取扱説明書を見て下さい。
板が外れるとその奥に小さな穴の開いた板(フィルター)がありますが、これも外します。普段の掃除はこのフィルターまでだと思います。どのメーカーもフィルターまでは簡単に外せるようになっています。
フィルターの裏側は大きな空洞になっていると思いますが、そこにシロッコファン本体があります。製品によって筒状のファンが縦方向であったり横を向いていると思いますが、このファンの中心部にファンをモーターの軸に固定する大きなネジがついています。ネジを回すと外れますからファン本体を外して掃除をします。
このときの注意点が二つ。まずファンをいじっている時に電源が入らないように注意することと、多くのファンは普通のネジと逆回りで、時計方向に回すと緩むものが多いので間違えないようにすることです。この逆ネジの法則は昔からある普通の換気扇でも同じです。いくら力自慢でも逆に回していては外れませんからね。
ファンの掃除の時の注意点。ファンの羽根は多くがアルミ製でデリケートですからあまりゴシゴシとやってしまうと変形してしまい、後で取付けた時変な音がしたり回らなくなったりしてしまいます。洗剤に浸けてからタワシでこする等、優しく扱いましょう。各メーカーでは中性洗剤、またはレンジフード専用の洗剤を使うことを推奨しています。
それでも面倒だという方には掃除業者が1万数千円から2万円台で掃除の代行サービスを行っていますので、それを利用するのも良いかもしれません。

さて、これでだいぶ家の中が綺麗になったでしょうか?
そういえばヨーロッパにいたとき、大家さんの家に行くといつも奥さんが掃除をしていました。ソファーも移動して毎朝下まで掃除機をかけるそうです。掃除に対する感覚が日本とは違うなと思ったものです。ちなみにシャンデリアや銀製品、メッキの部分もいつもピカピカですがこれはハウスメイドの仕事だそうで、シャンデリアがある=メイドが掃除をする、と言った構図になります。

掃除番外編で空気清浄機(写真5)

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仕上に紹介するのは空気清浄機です。この機械、多くの人は花粉症対策や喘息防止で使っているようですが・・・HEPAフィルターと呼ばれる高性能フィルターのものはウイルス対策にもなるようです。
我が家ではソファー周りの埃がすごく(子供達が上でピョンピョン跳ねるもんですから・・・しつけが悪い?)、しかも元気な猫が二匹いるので埃と猫の毛がごちゃ混ぜになってすぐに埃だらけになってしまうのが悩みの種でした。綺麗に埃を吸い取っても翌日には早くもテレビの上、キーボードの上にうっすらと埃がたまっている状態、というと分かるでしょうか。ある建て主の方が「寝室に空気清浄機をおいたら埃が少なくなったよ」といっていたのを思い出し、使ってみることにしました。ネットで調べると値段も性能も様々。1万円しないものから加湿機能が付いて静電気で埃を吸い寄せる10万円近くのものまで・・・さらにネット上でレビューを見ると「埃は吸い取りませんよ、掃除機ではないのだから」という意見が大半です。
実際に使ってみなくては分からない!加湿装置のないものですと1万円程度で風量もそこそこのものがあるので半信半疑使ってみることにしました。

 部屋を綺麗に掃除した後空気清浄機のスイッチON!30分もすると埃が少なくなったような気がします。しつけの悪い子供達はいつも通りソファーで遊んでいますが、遊び始めると機械が反応して風量がアップ、モニターのランプは「きたない」ですって。一日たった後テレビ、キーボードの上を見ると・・・なっなんと埃がない!!
逆光で室内を見るとチリが舞っていることが多かった我が家も空気スッキリで埃が見えません。
レビューで埃はすいませんよ!と書いてあったのは何だったのでしょう?まぁ部家の状況、感じ方など個人差があるので判断の難しいところですが、
我が家でははっきりと効果が現れました。
なんて強調してしまいましたが、参考になればと思って紹介しました。
現在HEPAフィルター付きのものを2年程使っていますが電源は入れっぱなしで自動運転にしています。最初程の感動はなくなりましたが、やはり無かった頃に比べるとホコリの量はかなり違います。

ps.購入しようとしている方、フィルターの種類も色々あるようでかなり値段の高いもの、寿命が短いものもありますのでチェックしてくださいね。消費電力も様々なようですが、埃が舞っていなければ基本的には弱風運転です。
我が家での使用状況ですが、16畳用のものを床面積で言うと12畳+αの部家で使っています。吹抜が大きいので体積で言うと約26畳の空間で使っています。ほとんどワンルームのような家ですから厳密にはもっと広いかもしれません。カタログ上では完全に能力不足の状態ですが、確実に効果はあります。

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まめ知識 06 建材で使われる金属の種類とメッキについて

今日は建材で使われる金属のについて書いてみたいと思います。ここまで木の腐食と塗装について書いてきたのですが、金属の腐食も同様に悩まされる建材です。鉄部のメンテナンスについても少々触れておきましょう。

昔は金属の板というとトタンとブリキでしたが、最近は色々なメッキ鋼鈑があります。役に立つかどうかは分かりませんが性能の違いを簡単に説明してみようと思います。
建築でよく使われるのは
・ブリキ
・トタン
・ボンデ鋼板
・ガルバリウム鋼板
・アルスター鋼板
・ステンレス鋼板
その他特殊なものとして
・チタン合金
・コールテン鋼板
などありますが、実際はもっと多く、数限りなく有ると言っても良いほどです。
上記のステンレス、チタン、コールテン鋼以外は鉄にメッキを施したもので、次にメッキの違いについて順に書こうと思います。
・・・アルミ、亜鉛、鉄、ニッケル、錫、鉛、(水素)、銅、銀、白金、金
って覚えてますか?
高校の頃化学の授業で習ったイオン化傾向の大きい順に代表的な金属を並べてみたものです。
鉄よりも左側にあるアルミや亜鉛は、鉄よりも酸化しやすい(錆びやすい)ということになります。
錆びやすい金属と錆びにくい金属を合わせることで本体の鉄を守るというのが建材に使われるメッキの効果になります。
鉄を錆から守るには一見すると鉄よりも錆びにくい金属をメッキした方が良い様に思いますが、実は傷がついた時、肝心な鉄が先に錆びてしまうんですね。メッキ部分の金属が先に錆びることで本体の鉄を守るというのがメッキ層の役目になります。ということで建材には亜鉛やアルミメッキの鋼板がよく使われます。

ブリキ
ブリキというと昔のおもちゃですが、建築ではほとんど使いません。一般の人がよく「ブリキ」と言っていますが、建材の場合ほとんどがトタンです。ブリキは鉄にスズをメッキしたもので、スズは鉄よりも錆びにくいのですが傷がつくとすぐに鉄が錆びてしまうからです。一番使われているのが食品の安全性の観点からも缶詰です。

トタン
トタンは鉄に亜鉛をメッキしたもので、昔から建築にはよく使われます。亜鉛は鉄よりも錆び易いのですが、傷がついたとき先に亜鉛が酸化し鉄が錆びるのを防いでくれるからです。この効果を犠牲暴食効果とも言います。電気的にメッキを施す電気メッキと溶けた亜鉛に直接浸ける溶融亜鉛メッキがありますが、犠牲になる亜鉛が圧倒的に厚い溶融亜鉛メッキの方が防食性は高く、ほぼ錆びないと言っても良いくらいです。

ボンデ鋼板
ボンデ鋼板もよく使われる材料ですが、正式には電気亜鉛メッキ鋼鈑と良い、ボンデ鋼板は商品名となります。トタンとの違いは表面処理をして塗装がのり易くしてあるかどうかで、錆に対しての性能は後で述べる鋼板に劣ります。実感として5年に一回塗装し直さないと錆びてくる、といった感じです。

ガルバリウム鋼板
鉄に亜鉛とアルミを約半々の量でメッキした鋼板です。1980年代後半からよく使われるようになりました。トタンに比べると圧倒的に錆びにくく価格も安いため、最近では屋根を始めほとんどの板金部分で使われるようになった材料です。

アルスター鋼板
アルミメッキを施した鋼板です。ガルバリウム鋼板と同じくかなり新しい材料になります。建築にも使いますが、熱にも強いため自動車のマフラーや簡易焼却炉などによく使われています。ガルバリウム鋼板より耐食性はかなり優れており、ステンレススチールに次ぐ性能を持ちます。トタンの様に犠牲暴食効果で鉄を守るのではなく、アルミが空気中や水中で容易に酸化膜、水酸化皮膜を作る性質を利用したものです。

コールテン鋼
厳密にはメッキ製品ではありませんが、異色なものとしてコールテン鋼があります。鉄に銅を数%混ぜることで表面に緻密な保護性のある錆を形成し、錆がそれよりも中に進まないという優れものです。年月が経つとともに表面が錆色に変わり、素材そのものの美しさが出るので、我々日本人好みの素材とも言えます。(写真1)使ってみたいところですが、価格がそれなりに高く、建築よりも土木でよく使われます。橋梁などの塗り替えのメンテナンス費用を考えるとコールテン鋼の方が最終的には安くなるという経済的な理由からです。
日本のように湿度や雨が高いところで使用するといつまでも錆が流れ出すという厄介な面もあります。その対策としては表面を薬品処理するとか塗装を施すなどの方法がとられますが、折角なら錆を表現したいですね。
鎌倉にある神奈川県立美術館(鎌倉館)(1951年坂倉順三設計)では錆の流れを目立たなくさせるため、建物周囲に砂利を敷き込んでいました。

新日鐵住金HPより

チタン合金
チタン合金はチタンにアルミとバナジウムを数%混ぜた合金で強度が超高力鋼並み、重さは鉄の約半分、耐候性に優れるという3拍子そろった夢の合金ですが、価格が高いため現在よく使われるのは航空機やミサイルなどの軍用が主になります。建材としては東京電力電力館(渋谷)などで屋根葺き材に使われましたが、価格の問題で普及はしていません。

以上のことから最近建材で使われるのはガルバリウム鋼板ということになってしまうんですね。

次に昔のカラー鉄板、トタン板やボンデ鋼板などで錆が出てきたとき、どのようにメンテナンスをすれば良いでしょうか?
まず錆を取ることが重要です。以外と知られていませんが純粋な鉄は結構錆びにくいのです。新築のとき高い防錆塗料を塗るよりも鉄の表面を入念に処理した方が錆が出にくい程です。
入念にというのは実はかなりお金のかかることで、まず砂の混じった高圧の水で表面を綺麗にしてからさらに薬品処理で表面を綺麗に洗い流す作業になります。先程コールテン鋼が塗り替えのメンテナンスが不要なため、土木ではよく使われていると書きましたが、それでは何故すべての橋梁がコールテン鋼にならないかというと、入念に表面処理を施し、高性能な防錆塗装と同じく高性能な塗装を施すことで、かなり錆のでない構造体にすることができるからです。
ということで、塗り替えでは錆などの不純物を取り除くことが重要になります。塗り替え後なかなか錆が出ないという腕のいい塗装職人はこの作業が丁寧で、時間もかかります。ですから結果的に高い!ということになるのですが、どちらが良いかはすぐに分かりますね。
自分でメンテナンスを行う時も錆び落としだけは入念にやって下さい。ヤスリだけではなく、錆落としクリームとの併用が有効です。錆落としクリームはカー用品店やホームセンターにおいてあります。

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まめ知識 05 コンクリートの撥水と中性化

今日は撥水材と中性化(コンクリート)の話しです。

撥水材はペンキと違ってコンクリートの素材感を残しながら汚れを防ぐ性能があるので我々建築家が好んで使う材料の一つなのですが、見た目の問題のほかペンキを塗るのと同じ様に中性化を遅らせる効果もあります。

ところでコンクリートの中性化?って何。

コンクリートは鉄筋と一体になって初めて強度がでます。コンクリートは圧縮に強く、鉄筋は引っぱりに強いため、両者が一体になるととても強い構造体になります。鉄筋は錆びやすいのですがコンクリート自体がアルカリ性のため、コンクリートに守られている限り鉄筋は錆びません。熱膨張率もほぼ同じということですから非常にうまい組み合わせですね。1900年頃フランスで活躍したオーギュスト・ペレという建築家によって初めて大々的に建築に使われ、その後近代建築の代名詞にまでなりましたました。

ここで中性化が問題になってくるのですが、コンクリートは大気中の炭酸ガスやコンクリートにしみ込んだ水などの影響で表面から少しずつ中性化が進み、アルカリ性から中性になっていきます。
表面に何も塗装などをしていないとき、日本建築学会の計算式で求めると最大で1年で1mm程になります。実際のコンクリートを調べると打放しで何も塗装などをしていない時最大で1年間に0.5mm程度、塗装を施している場合、5年で1mm程度ですから塗装している時は100年で20mmの速さです。*1)
中性化のスピードが違うのは表面にヒビがあるかとか、コンクリートの質が極端に悪い時、工場の排気による影響など様々な用件が絡んできます。コンクリートの質は、調合で使う砂の質やセメントに対する水の割合が大きな要因で、ここを間違えると中性化も早く進むため、建築家は調合などに非常に気を使い、良いコンクリートを打つよう細心の注意をしています。

では鉄筋は表面からどのくらいの距離のところにあるのかというと、これは基礎や内壁など部位別に建築基準法で細かく定められており20mm-60mmが標準ですが、施工の精度によって基準値を下回ってしまうこともあります。躯体の鉄筋が見えていたり、錆で膨らんだ鉄筋がコンクリートに亀裂を作っているのを見たことがあると思いますが、ほとんどの場合施工不良によるものです。施工の誤差を考慮してstudioAでは外部に面している壁や土に接しているのコンクリート部分は法規で決められているかぶり寸法+20mmで設計し、これらのトラブルに対処しています。

以上、まとめてみると次の様になります。
打放しで何も施していないとき、1年間で0.5mm程度中性化が進んでいると推測され、築50年の建物で25mm進行するということになります。耐力壁や梁の法規上のかぶり厚さは30mm以上、studioAは+20mmで設計していますから、鉄筋まで50mmかぶりがあり、通常の中性化が進むスピードだと100年は大丈夫ということになります。中性化に関してはほぼ心配無いということです。さらに撥水材などを塗っておけばさらに安心ということになります。

壁乾燥  壁面撥水
次に撥水材ですが、特にコンクリートの打放し面に塗るのは汚れ防止の役目です。
撥水材には素材で分類するとシリコン系とフッ素系、仕上がりでの分類では表面に塗膜ができるタイプと素材に浸透するタイプに分かれます。
塗膜ができず浸透するタイプのものは車のフロントウインドウや衣類のレインコートなど、日常の製品でも使われているのでよくご存知と思います。建築ではシリコン系が使われることが多いのですが、摩擦やゴミの付着によってい撥水性は徐々に失れ、経験からいうと性能の良い高価なものでも2-3年で撥水効果が無くなり塗り替えが必要になります。
表面に塗膜を作らない撥水材は耐久性に問題が有る一方、仕上がりは塗ったかどうか分からない程で、素材の生のテクスチャーを生かすことができるのが魅力です。(写真、壁面比較1、2)
商品の一例を挙げると
 ABC商会で扱っている「ワイティープルーフ」
 木童で扱っている「超撥水」
 木材専用になりますが、ミヤキで取り扱っている「木肌美人」「木肌一番」 
などが有りますが、2ー3年経つと撥水効果は目では確認出来なくなってしまいます。メーカーによっては内部で撥水効果が続いていると説明している会社も有りますが・・・

一方、透明または半透明の塗膜を作りますが撥水効果が長い間持続し、表面が少々テカるのもまあまあ我慢ができるかなと思って使っている製品に
 大日技研工業のランデックスコートWS疎水材
が有ります。他にも有ると思いますが、性能と耐久性が良いのでstudioAではこれ一本です。

この製品は1986年に竣工した横浜の「人形の家」で初めて使われ、最近初めて塗り直しが行われました。20年以上の耐久性ということになります。studioAでも10年前に竣工した西宮のアパートで使い今春改修工事を行うため検査に行きましたが、まだまだ大丈夫という状態でした。

木材への撥水材の使用ですが、前回、前々回のメルマガでお伝えした通りオイルの方がまだ耐久性が高く、値段も安いので現時点ではあまり使っていません。木童で取り扱う「超撥水」は営業マンも社長も自信満々ですから一度使ってみようかと考えています。
ということで木材での実験報告はだいぶ先になりそうですがあしからず。

平面撥水

撥水材を塗った直後のコンクリートの平らな面。水玉上になって撥水しているのが分かる。

*1)塗装の状況、セメントに対する水の割合、AE減衰材の使用、骨材の種類などの条件で数値は大きく変わるため、あくまで平均的な参考値です。
中性化が社会的問題になったのは広島の市営住宅団地で筑後15年程経った建物で早くも中性化が原因と思われるトラブルが多発し、その原因が塩分を含む海砂を十分に脱塩しないまま使用したためと判明してからです。

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まめ知識04 木のメンテナンス

今回は木材のメンテナンスについて。私なりの経験と実験から述べてみようと思います。
前回の03でも書きましたが、手に入れやすい、性能が良い、様々な種類や色が用意されている(でも高い!)ということからオスモカラーを中心に書いて行きます。その他の自然塗料などについてはすべてを網羅することもできないので「日本自然塗料審査会のHP」
http://npec-jp.com
などを参考にしてみて下さい。

あと、オイルとワックスの違いについて質問が有りましたのでお答えします。
自然塗装で使い分けられるオイルとワックスの違いは成分の違いです。先に塗るのがオイルで、メンテナンスで塗るのがワックスという訳では有りません。オイルといわれるものは植物油である亜麻仁油、ひまわり油、桐油などをミックスしたもので、ワックスとは厳密にはロウのことを言いますが、市販されてるウッドワックスはオイルに使われている植物油にカルバナ蝋、蜜蝋を加えたものをいいます。カルバナ蝋は車用ワックスにもよく使われているのでご存知の方も多いと思います。石油から精製される蝋にパラフィンが有りますが、自然塗料には使われません。
オイル、ワックス両方使ってみましたが、ワックスの方が艶が少々強い他、オスモではあまり性能的な違いが分かりませんでした。

フローリングの塗装とメンテナンス
studioAの住宅では、一部賃貸住宅を除きほとんどのフローリングはウッドオイルで仕上げられています。透明なオイルで仕上げることが多かったのですが、7−8年前から半透明のウッドオイルで白っぽく仕上げることも多くなりました。それまで主流であったワトコオイルも着色ができる製品があったのですが、事務所での実験では均一に仕上げることがかなり難しかったため透明に仕上げていました。オスモのワンコートオンリーはどろっとしており溶剤成分が少ないせいか、拭き取りでさほど気を使わなくても綺麗に仕上がることが分かり、最近は白っぽい色を付けて仕上げることも多くなりました。我が家も白っぽいオイルの拭き取りで仕上げましたが、実はメンテナンスで失敗してしまいました。
色々と掃除の方法を試したのですが、その中でスチームモップを用いたのが失敗でした。フローリングに適度な湿り気を与えることができるので良いかと思ったのですが、スチームの熱でオイルの成分が少しずつ溶け出してしまったようなのです。各メーカーに聞いてもスチームモップとの相性についてははっきりとした返事はもらえませんでしたが、フローリングの脇に敷いてあったタイルにモップについたオイルが着いて固まっているので溶け出していることは間違いないようです。
そこで昨年、(元気な子猫二匹と腕白な男の子二人が付けた!!)傷がひどくなってきたことも有り、一大決心をしサンダーで表面を少々削った上で、新たにワンコートオンリーの白色を塗って拭き取り、その後にフロアークリアを塗って新品の様にしました。
詳しくは2012年9月のブログ
http://keimorostudioa.blog.fc2.com/blog-date-201209.html
普通の使い方であれば、サンダーで削るような大工事は必要有りません。サンダー掛けはうるさいし本当に大変ですから!

クリーナー
オスモ製 左がワックス&クリーナー、右がウオッシュ&ケア

その後のメンテはオスモ推奨のクリーナー、ウオッシュ&ケアを使って現在に至っていますが、とても快調です。ウオッシュ&ケアは洗剤の他に5-15%の植物油が入っているので、定期的なメンテナンスをすることでオイル分が補充されます。使い方は簡単で指定量に薄めてその液を使ってぞうきん掛けを行えば良いだけです。メーカーは1−2週に一度のメンテナンスを勧めていますが、ぞうきん掛けと変わらないのでさほど負担にならず、我が家でも休みの日の朝の日課となり続けられています。
最近は薄めた液をハンドスプレーに入れて床にシュッと吹き付けた後、それを拭き取って掃除をしています。
メーカーではその他に年に1−2回程度、ワックス&クリーナーでの手入れを勧めていますが床が大変滑りやすくなりますし、前述のウオッシュ&ケアで十分汚れは取れますから、水のかかりやすいところの撥水効果を高めるなどの他は使わなくても大丈夫でしょう。結構高いですし!
現在の様子で行くと、オスモカラーの塗り足しは当分必要なさそうです。5年程経過したら塗りたそうかとも思っていますが、面倒であればそのときにワックス&クリーナーでも良さそうです。
ウッドオイルやウッドワックスの場合、ペンキと違って表面に塗膜を作りませんからサンダー掛けなどで古い塗装をはがす必要は有りません。塗り足しでOKです。他社製品のウッドオイルやワックスを塗り足しても大丈夫のようですが、目立たないところで一度試してからにしましょうね。

デッキや外気に露出する構造材など・1
一言でいうと、防腐、防カビ材入りのウッドステインプロテクターです。

デッキ材
左側3本が撥水材塗りの後7年経過、右は撥水材と外部用オイルの塗り重ね。
その後ウッドステインプロテクター灰色を塗って一年経過した状態。特にビス穴周りの傷みが目立つ。


我が家でも始めは内外兼用で防カビ材が入っていないワンコートオンリーを使っていましたが、半年程で表面にポツポツと黒カビが生えてきてしまいました。黒カビは木の腐朽菌を呼ぶため早めの対処が必要です。ちなみにカビはカビキラーで簡単にとれます。キッチンペーパーなどにカビキラーをしみ込ませ、さっと拭き上げれば瞬時にとれます。でも同時にオスモカラーも大分とれてしまうので、塗り直しは必要でしょう。自然乾燥させた木材などでは木の中から黒カビが発生し、こちらはさっと取れるという訳には行きませんので、専用のカビ取り材が必要になります。
02で書いた様に外部の防カビにはキシラデコールがかなり有効なのでそれを下塗りにしてその上からワンコートオンリーを塗っていましたが、面倒なのでウッドステインプロテクター一本にしてみたところ、かなり調子がいいのです。塗り替えの方は外部は「ウッドステインプロテクター」で十分と思います。こちらも5年程度は大丈夫そうですが、構造材は腐ると面倒なので、一年に一回は目視で点検して、必要であれば塗り足す様にしています。
デッキ材で特に気をつけたいところはネジで止めている部分からの腐りです。最近の大工さんが使っている電動ドライバーはトルクが強いためか、またはビス頭が飛び出さない様に念入りに締め付けるためか、かなり表面よりめり込んでいることが多いようです。その部分の木が痛んでそこが腐りやすくなるようですから穴の部分には念入りに塗って下さい。
外部梁

カビが生えてしまったため、カビキラーで除去後ウッドステインプロテクター灰色を塗る。一年半経過したが、状態は良好。

デッキや外気に露出する構造材など・2
撥水材を塗布すると塗った当初は驚く様に撥水し、水玉状になって風でコロコロと転がるくらいになります。建築用で使われている撥水材はシリコンを主成分にしたものが多いのですが、摩擦や埃によって撥水効果は一気に落ちます。そのため製品にもよりますが1年に1−2回程度は塗り足す必要が有りウッドオイルと比べるとかなり頻繁に塗らなくてはならない感じです。壁などの垂直面は2年経ちましたがまだ撥水効果が続いています。
シリコン含有量1−2%程度のものを使っていましたが、「木童(こどう、国産材を使った木材一般を扱うお店)」に「超撥水」という製品が有り、シリコン含有量が5%ということでしたから早速手に入れ、現在テストの準備中です。結果がでるのは先の話になりそうですが、また追ってお知らせ致します。
ちなみに木童の話しでは浴室に木を使っている時にはこの超撥水を塗っておけば、完璧!とのことでしたが、私が試していないので、一応お話として伝えておきます。

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