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まめ知識03 木材に塗る塗料(とメンテナンス)

ズバリ!木部に塗る塗料は何が良いのか?
前回述べた様に、木には外部内部を問わず、浸透系の塗料ウッドオイルやウッドワックスがお勧めと書きました。
水分を断つ事で木の防腐を行い、そのためにオイルなどを塗布するのが有効だと書きましたが、その他撥水材を塗る方法もあります。我が家のデッキでは実験と称し両方とも試しましたが、木材の場合、撥水材よりもオイル系の方が状態が良く、効果があり長持ちするようです。
撥水材はコンクリートの打放し面などに塗ることが多いので、また別の機会にお話しします。

下の写真、背の高い赤い缶がワトコオイル、他は様々な種類のオスモカラー
ウッドオイル

ウッドオイルについて具体的に商品名で話しますが、古くは「ワトコオイル」「キシラデコール」「オリンピックステイン」から最近よく使われるものでは「オスモカラー」「プラネットカラー」「リボス」など自然塗料と呼ばれているものまで、様々です。
自然塗料と言っても100%天然成分を使っているもの、一部無害化した化学薬品の溶剤を使用しているものなど有りますが、一般的な塗料に比べ毒性試験、発がん性試験などは一般塗料に比べると遥かに良い環境配慮型の製品です。

ワトコオイル 手軽でホームセンターでも手に入るため、私は今でもよく使っています。
イギリス製で70年に渡って国内で使用されている最も知名度のあるオイルで、亜麻仁油をベースに無毒化した溶剤で作られたものです。かなりサラサラの液体で塗りやす手軽に扱える一方、主成分の亜麻仁油の含有率が低い(=溶剤が多い)のと、最近の健康志向で100%自然材料を使った新しい製品が多く開発されているため、後述する製品と同等の性能にするためには重ね塗りが必要で、古い製品という印象は拭えません。

キシラデコール 防腐性能が高いので、ここは!というところで時々使っていました。1970年代の始め頃から日本に入ってきたドイツの防腐剤入りウッドオイル。防腐防カビ効果が高く,70年当時はこれに変わる性能のオイルが無かったので多用していましたが、溶剤と防腐剤を使用しているため基準の厳しいドイツ国内では屋内、屋外とも使用禁止です。(現在もという話しは聞きましたが正確には?)現在の製品は日本の環境基準に適合していますが、studioAでは昔から外部でしか使いませんでした。さらさらとした液体なので扱いやすいのはワトコと同様です。

オリンピックステイン アメリカ製ウッドオイル。日本に入ってきて30年以上経ち、20年程前まではよく使っていましたが、手に入れにくいので最近はオスモ、プラネットカラーを使うことが多くなってきました。浦安のディズニーランドではアメリカ製ということもあって、大々的に使用されているようです。F☆☆☆☆は取得していないので、屋内は不向きでオスモなどの自然塗料と比べると一歩遅れた感が有ります。

オスモカラー 天然成分を使った自然塗料の代名詞にもなっている製品。ドイツ製で、広く流通しており、東急ハンズなどでも扱っている。天然のひまわり油、大豆油、アザミ油を主成分とし、溶剤が全体の30%程度と少なく前出のワトコ、キシラデコールの60-70%の溶剤の割合比べるとかなりどろどろとした液体で、薄めずにそのまま塗装します。慣れない塗装屋さんは溶剤を入れたがるので、現場でのしっかりとした監理が必要になります。塗るというよりはこすり付けていく感じで、専用の布のコテの方が作業が楽です。

プラネットカラー オスモに似た製品ですが、溶剤を含め100%天然をうたっている製品です。ウッドオイルの主成分が亜麻仁油、桐油という違いが有りますが、性能的な違いは私には実感出来ませんでした。
主成分と溶剤の割合はオスモに比べ少々こちらの方が主成分が多いようです。日本に上陸したのは遅く、後発メーカーのため一般のお店で見かけることは少なくネットでの購入が前提となります。

リボス 残念ながら使ったことが有りません。長年つき合っている家具屋さんいわく、汚れやすくハードな使用に耐えられないとのことでした。100%天然素材ですから、室内の手の触れない壁や天井には良いかもしれません。

全般 各社ともオイル成分に加え、ワックス成分の入ったものや、防カビ、防腐性能の高いものから室内で使っても安全なものまで各種取り揃えているようです。基本的に防カビ、防腐性能をもつものは有毒な成分が含まれており、そうでないものは性能がかなり落ちるということになります。

以上紹介したほかにも数多くの自然塗料が有りますが、一応直接使ったことの有る製品ということでまとめました。

結論から言うと現在studioAではオスモカラーを中心にプラネットカラーも使っています。
その理由は性能とバリエーション。またオスモカラーが一番手に入れやすいということからです。
実際に使用した感じではオスモ、プラネットとも作業性、耐久性などの基本的性能に大きな違いは感じられませんでした。両製品とも塗ってから軽く拭き取る感じで仕上げるのですが、触ってべたつかない程度になるのに半日、乾いて人が上を歩いても大丈夫な様になるには一日かかりますから、手軽にすませたいときはワトコの登場ということになります。

オスモカラーについて
さて、ではオスモカラーを購入して塗ってみようと思いカタログを見ると・・・
ゲゲッ、という程様々な種類に分かれており、訳が分からなくなります。
ウッドワックス、ワンコートオンリー、フロアークリア・・・などなど。数えてみたら12種類も有ります
(プラネットカラーは5-6種類ですが、フロアーに塗るクリア塗装は半艶、つや消しなど細かく分類されています)。量販店でも手に入ると書きましたが、このうち手に入るのは2-3種類だけで、細かく使い分けたいときにはやはりネットショップを利用しています。
用途を考えて選べば良いのですが、本当に分かりにくい!ので整理してみました。
どのように分かれているかというとまず仕上がりで
・透明仕上、半透明仕上、塗りつぶし仕上の三種類
使う場所で
・内装用、外装用、内外装兼用の三種類
成分の違いで
・ウッドオイル、ウッドワックス
特殊なものとして
・防虫・防腐・防カビ材性能(但し毒性はあり、注意が必要、他社製品も同じ)、UVカット性能、フロアー用滑り止め効果のあるものがあります。

studioAでは塗りつぶしは使いませんから、
半透明仕上で少々色を付けたいときは「ワンコートオンリー」(内部)「ウッドステインプロテクター」(外部)
透明仕上の床や色を付けた床の2回目の塗装には「フロアークリア」
と三種類だけにし、自宅のメンテに使っています。
ちなみにフロアークリアは滑り止めの効果があるそうですが、我が家での実験ではあまり効果は感じられませんでした。

オスモカラーの宣伝の様になってしまいましたが自宅のメンテで使用しているためで、プラネットカラーも同じ様にお勧めです。どの製品も塗膜をつくらないため、他社製品を塗った上からの重ね塗りは可能で、数種類の相性は確かめましたが、すべて巧く行くかは確認していません。ペンキ(水性ペイントなど)などの塗膜を作るタイプから塗り替えるには一度サンダー掛けをして古い塗装の皮膜を取り去ってやらねばならないので少々面倒になります。

次回は実際の我が家でのメンテナンスを中心にお話しします。

一級建築士事務所 studio A / Kei Morozumi  studioAホームページへ
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まめ知識02 木は腐らないか?

木は腐らない、と藤森照信さんからいわれてビックリ。??
ジメジメしたところに長く放置された木は腐ってぼろぼろになってしまいますが、これは木材腐朽菌(ふきゅうきん)という木を栄養分とし繁殖する腐生菌が木の主成分であるリグニンやセルロースを分解してしまうためにおこります。
腐朽菌?あまり聞いたことの無い言葉ですがキノコ類も腐朽菌の一種で、シイタケ、マイタケなどは白色腐朽菌という部類に入ります。

 先日、茶室で有名な藤森照信さんがヨーロッパで仕事をした経験で語っていたことですが、アルプス以北の地域、たとえばドイツやオーストリアでは木は腐らないものだと認識されているそうです。
木は腐るでしょ!と言いたくなりますが、これは何故なのでしょう?
最初に書いたように、木は木材腐朽菌が繁殖するために腐ります。繁殖の条件は水分、温度、酸素、栄養分ですが、酸素と栄養分は木が空気中に放置されている限り供給されるものですから、残りの水分と温度に深く関係していることが分かります。
ヨーロッパと東京の湿度を比べてみると
      夏     冬
   ウイーン 60%台    80%台
   東京   70%台半ば  50%前後
   ローマ  70%台前半  80%程度

上の表で明らかなように、ウィーンでは暑さと湿度の高さが日本の逆であるため、木材腐朽菌が繁殖する環境が整わない一方、東京の夏は暑さ、湿気が同時に訪れるため、木材腐朽菌が活動し易くなるという訳です。
日本のように暑い夏と高い湿度が同時にくるのはモンスーン地帯の特徴のようです。

木材腐朽菌は木材含水率(1)が20-25%、温度が20-30度の環境を好み、この環境だと活発に活動を始めます。

では実際に日本で使われている材木の含水率はどのくらいなのでしょう。
一例として奈良県地域材認証センターが認証マークを発行する基準としてあげている数字が構造材で20%、板材で15%です。そのまま放置しておくとさらに乾燥し日本では15-20%程度で落ち着き、ヨーロッパでは11%程度で落ち着きます。からからに乾いた材木であれば腐る心配はありませんが、ジメジメとした環境に置かれた木材や水分がいつまでも抜けない板と板の重なりあったところなどは含水率も20%を常に超えて、腐り易い状況にあると言えます。

さて、木が腐るメカニズムを書いてきましたが、それでは腐らないようにするためにはどのような手を打てば良いのでしょうか?それには木材腐朽菌が繁殖する4つの条件のうち何か一つを断ってやれば良いのです。
昔、木杭を地中に打ち込み地盤の補強をしていましたが、百年以上経っても腐っていないのは、繁殖の条件の一つである酸素が供給されないからです。
私たちが普通に使う木材では、水分を断つことが一番簡単です。

塗装を施すことによって木材を湿気から防ぐ訳ですが、大きく分けてその塗料は二種類に分けられます。
塗膜系塗料と含浸系塗料です。
塗膜系塗料とは一般にはペンキ、と言われているものでその名の通り木材の表面に薄い塗膜を作り、水分から保護します。
既製品のフローリングなどではウレタン系塗料が使われることが多く、強く固い皮膜を作って木材を傷や水分から保護します。

一方の含浸系塗料はウッドオイルとかウッドワックスと言われているもので、木材に成分を含浸させ、水分が表面から内部に入らないようにするものです。傷をつきにくくする性能は持ちませんが、表面に皮膜を作らないため自然の風合
いを残し、落ち着いた雰囲気に仕上がります。さらに重要な違いは木材の表面を完全に覆っていないため湿気の多いときには水分を取り込み、反対に少ないときには放出するという「木の呼吸機能」を生かす事ができ、木材本来の性能を損なわないということです。
室内に木材を使用すると、珪藻土などと同じように調湿機能があるということです。
塗膜系塗料のように完全に水分をシャットアウト出来ませんが、風合いや調湿などメリットも多くあります。

一般的な建て売り住宅やマンション、メーカー系住宅はクレームを避けるため、ウレタン塗装を施す場合がほとんどで、寸法の安定性、汚れにくさ、傷のつきにくさを優先する代わりに木材のもつ調湿機能を犠牲にしています。
これでは見た目は木ですが、性能はプラスティックと同じです。

以上の理由で、studioAでは室内のフローリングなどにはウッドオイルやウッドワックス、またはその両方の成分の入っているウッドワックスを用いています。外部の木材の取り扱いは難しく意見の分かれるところですが、最近は防腐剤入りウッドワックス系で仕上げることが多くなってきました。
その理由としてペンキで塗膜を作ってしまうと新しい材木の場合含水率が出荷状態から下がらず、内部で蒸れた状態になってしまう恐れがあること。
塗膜で完全に水分から保護しますが年月が経って剥がれると、その部分は全く保護されなくなること。などからです。

一方、オイルは含浸しているため剥がれも起きず、含水率も徐々に下がり安定的な15%程度まで下がります。
しかし年月が経過するとともに含浸したオイルが徐々に流れ出てしまうため、一定の期間で塗り足してやる必要がありますので面倒と言えば面倒ですが、木目の見える風合いも大事にしたいとなると含浸系しか選択肢は無くなります。

以上、簡単に木の腐るメカニズムとその防止方法を書きましたが、次回はこの続きとして、具体的にどのようなメンテナンスをどのような塗料を使ってどのような期間で行うのが良いかを書いてみたいと思っています。

(1)木材含水率
木材から完全に水分を取り除いた重さに対して、どのくらいの水分が含まれるかを表した数字。
乾いたスポンジの重量に対して、中にどのくらいの水分が含まれるか、ということを想像していただけると分かり易いと思います。スポンジが自重以上の水分を含む様に、木も同様で100%を超えることもあります。
ヒノキを切り出した時、辺材(周り)で150%%以上、心材(中心部)で33%程度。

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プロフィール

Kei Morozumi / studioA

Author:Kei Morozumi / studioA

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