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まめ知識15 住宅の温熱環境について

住宅の温熱環境を向上させる、簡単に言うと冬暖かく、夏涼しい家を造りましょ
うということなのですが、省エネが叫ばれるようになって何年も経つに もかか
わらず日本の設計業界の実態はまだ手探り状態で、各自色々と工夫を凝らしなが
らやっているというのが住宅設計現場の現状です。私も温熱環境 の向上を目指
しているものの、昔はうまくいったりいかなかったりと、何とも心もとない状況
です。そこで私が属している「家づくりの会」の有志を集 め、今年から自然エ
ネルギー研究会なるものを発足させ、2-3年をめどに、本当の省エネ住宅とは何
なのかを研究することにしました。

研究会を立ち上げようと思ったきっかけは環境省が行った省エネ住宅研究の結果
を聞いたからです。
全国20の自治体で省エネ住宅住宅を研究し、実際に一棟つくってもらう事業を
行い、現在JIAがその効果などを測定し本にまとめているそうです。 担当者によ
ると結果はバラバラで省エネとうたっていながらその結果が測定値に反映されて
いなかったり、逆に悪影響をもたらしているものもあったり し、省エネに対す
る取り組みやアイデアも独自に考えられているものも多く、とても体系だった学
問にはなっていないという結果だそうです。

目黒に事務所があった2004-2009年、古い借家に住んでいた時、夏あまりに暑い
ので部屋の温度を測ってみました。たぶん断熱材が入っていな かったと思いま
す。真夏の昼の2時に外出して帰ってきたときの温度は以下の通り。放射温度計
を取り出し各部の温度を測ってみると
外気温   38.4度
室内気温  39.9度
和室天井板 45.5度
南側内壁  41.0度
床タタミ部 38.0度
床塩ビシート部 36.0度
これではいくらクーラーをかけても室温が下がらない。快適な温熱環境にするに
は周りのものすべて(床、壁、天井、家具など)が一定の快適な温度に なって
いる必要があるからです。断熱材など一件の家で10万円程度のもの。でも昔の
家は入れなかったのです。後から入れようと思うと大変な工事に なるので最初
が肝心です。

2009年に新築した自宅で、今度は断熱材がたっぷり入った状態の家でデータを
取ってみました。断熱材はロックウール系断熱材を壁、天井面に 55mm入れてい
ます。天井というか屋根の裏面は更に発泡ウレタンフォームを30mm吹き付けてい
るのでこの地域の標準の3倍程度の断熱性があり ます。

真冬の2月、夜9時頃、部屋の色々な部分の温度は下記の通りでした。
 外気温  6℃
 室内温度 19℃
 壁各所  19℃で同値
 床    18℃
 2階天井 19℃
大窓2.6m×2.6m ガラス厚さ10mm、単板ガラス、東向き、カーテンなど無しの部分
 中央部  11℃
 下中央  9℃
 下隅部  7℃ この部分はうっすらと結露していました。
夜11時半に暖房を切って夜明け前、5時半になっても室内は13℃を確保していまし
た。朝は5時半頃から8時半頃までエアコンを回しますが、その 後19時頃までは
太陽の熱だけに頼っており、室温は大体23度程度まで上がります。一番厳しいの
は曇天が3-4日続くときですが、一冬で1-2回 しかありませんのであまり気にな
りません。
その後も継続的に計っていますが概ね同じような値で、いままでに室温が11度を
下ることはありません。

半分は偶然だったのですが、吹抜けが多く床暖房設備も無いため冬は寒い、と覚
悟していた自宅は関東地方の冬の天候とあった設計になっていたことが 分かり
ました。関東から東海地方の太平洋側では冬は晴天が続くことが多く、昼間の日
照を使った自然暖房が期待できます。南側の開口部から室内に 入った太陽が一
日中床を暖めてくれるからです。夜間にはガラスの開口部は熱が逃げる場所に
なってしまうのですが、それよりも日中のダイレクトゲイ ンの効果の方が大き
いようです。また夜はカーテンなどで熱の逃げるのを防ぐのも簡単です。
日照plan
上の図は我が家の夏至、冬至に東の窓から入る日照のシミュレーション。

次に朝の日照ですが、これは本当に実体験して勉強になりました。
日の出の時の太陽の位置は冬至、夏至のときそれぞれ真東から南に約30度、北に
約30度ほど振れます。冬至前後の東京での日の出は6時50分頃で す。また夏至の
頃は4時30分頃になります。
朝、皆が起きてきて食事をとるのが7時とすると真冬はちょうど太陽が上がって
きた時間で、太陽が上がってくる方向(真東より約30度南側)に窓が あれば部
屋の奥深くまで太陽光が入り込むことになります。一方夏至の頃はすでに太陽高
度は30度程度まで上がっています。太陽の方向は真東から約 10度北側です。
さて我が家は敷地の関係で建物全体が西側に20度振れています。一般的には建物
は夏の西日を防ぐため東側に少々振れているのが理想とされているの で我が家
は逆になりますが、これも偶然にも幸いしたようで朝食事中に部屋の奥深くまで
朝日が入ってきてくれます。
偶然が重なったのですが、今後はこの経験を生かし温熱環境にやさしい住宅を目
指し、更なる研究を進めていきたいと思っています。
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まめ知識14 水栓の話し

昔はお湯のでる水栓と言えば回すノブが左右に二つついてその開具合を微妙に調整しながら適当な温度と水の勢いを制御していたものです。現在はだいぶ便利になって下の写真のようなシングルレバーと呼ばれるものがほぼ100%になってきました。
シングルレバー

ここに落とし穴があるのですが、シングルレバー水栓で水だけ出しているつもりで、いつの間にか湯沸かし器が作動していた、と言うのケースがほとんどだって知っていましたか。

本題に入る前に、まずは水栓の基本から。
水栓も色々な種類が出回っておりデザイン的にも機能的にも様々なタイプがあります。
水だけが出るものは単水栓と呼ばれますがお湯と水を混ぜて使うものは様々なタイプがあり機能的に分類すると、
・混合水栓(ツーハンドルと呼ぶこともある、冒頭で述べた昔の方式です)
・シングルレバー水栓
・サーモスタット水栓 
などとなります。

混合水栓は昔からある一番単純な機構で右側に水を出すハンドルが、左側にお湯を出すハンドルが付いており適当な温度になるように左右を調整して使います。欠点はちょうど良い温度になったとき水量が多すぎたり少なすぎたりしたとき、また左右のハンドルを操作して適当な温度に調整してやらなければならないことです。使いにくくて他のタイプに付け替えている人が多いと思います。
現在はほとんどが右の写真のタイプで〈シングルレバー〉と呼ばれている水栓です。その名の通り一本のレバーを上下左右に動かすことでで水を出したり止めたり、水温を変えたりすることが出来ますが、単純にお湯と水の入って来る口を絞ったり開けたりしているだけなので急な水圧の変化で水温が変わることがあります。例えばトイレの水を流すと水側の水圧が小さくなり相対的に温度が上がってしまいます。
その温度変化を無くしたのがサーモスタット付き水栓で、主にシャワーに使われます。ハンドルが二つ付いているのは混合水栓と同じですが、左側で温度を設定してやり、右側で水量を調整(またはその逆)するタイプで、内部にはサーモスタットが付いており水圧の変化によって急に熱くなったりしないように制御できる高級品です。最近の住宅では一般的に洗面器、手洗い器にはシングルレバー水栓、シャワーやお風呂の吐水口にはサーモスタット付き水栓を使っています。
シングル湯水

さて初めの話に戻りますが、よく使われているシングルレバー水栓、これには大きな欠点があります。上の写真を見てください。レバーが右側に向いているとき(写真上)は水だけが出ます。逆に左側を向いているとき(写真下)はお湯だけになります。と言うことは真ん中にある時でも半分お湯が混ざっていることになるのですが、お湯が出てくるまで少々時間が掛かるため使っている人は水だけを出しているつもりでも実は温水器が作動しているのです。
人の心理として真ん中で上げ下げして使いますよね。そのたびにガスや電気を無駄使いしているのです。
メーカーは早々にデザインを変更して、真ん中での上げ下げで水だけ、左にひねると徐々にお湯がミックスされるようにするべきだと10年程前から各 メーカーに言っていますが反応は良くありません。(この原稿を書いてから念のため各メーカーの製品を見ていたら、ドイツグローエ社が上記のような 新製品を「エコ商品」として発表していました)

最近の温水器は熱源がガス、電気を問わずお湯の供給温度を設定することが出来るので、急に熱いお湯が出てやけどをしないように40-50度に設定している人が多いようです。そのような場合は一昔前にはやったツーハンドル混合水栓も便利に使うことが出来ます。水を使いたいときは右側だけ回せばよいので間違って給湯器が作動することもないからです。

シャワー付きの水栓はサーモスタット付きがよいでしょう。特に昔の電気温水器を使っている場合最悪80度以上のお湯が出てくることが考えられるからです。もちろん最近の温水器は温度設定が出来ますから安全面では心配ありませんが、水圧の変化で温度が変わらないようにするには(万能ではありませんが)サーモスタット付きしかありません。値段は張りますが余裕があればシャワーはサーモスタット付きをお薦めします。
サーモ
サーモスタット付きシャワー水栓

次はメンテナンスの話しになります。これら便利な水栓の中にはカートリッジと呼ばれる水とお湯をミックスさせる機構をコンパクトにまとめた部品が入っています。ほとんどの人は普段見たことがないと思いますが、前ページ写真のシングルレバー水栓の場合、垂直に立っている脚の部分に入っています。普通に使った場合寿命は10-15年程度で、調子が悪くなると水の切れが悪くなったり、ポタポタと水漏れが止まらなくなります。そのようなときは分解してカートリッジ本体ごと交換になります。昔のような単純に水だけを出す水栓では5円玉程度の大きさのゴムのパッキングを取り替えれば良かったのですが、便利になった分交換も専門的になってきました。カートリッジ本体の値段はメーカー、型番に酔って異なりますが、¥3000~¥10000程度です。機械いじりの好きなお父さんや工具を持っていれば、自分でも交換できますがチャレンジする人はあまりいないようです。アマゾンで見ると分かりますが、水栓単体では国産、外国製とも1万円していないものが多いですから。

*外国製を使う場合、ネジの径やピッチがあわないことが多く、別売のアダプターが必要になることが多い。また、ネジを締めるときはネジ山にあらかじめシールテープ(写真5)を巻いてからナットを締めると水漏れがしにくくなる。シールテープは薄いメンディングテープのようなもので\100 程度。DIY店で取り扱っている。

まめ知識13 給湯器、熱源の話し

前回バスタブの話しをしましたので、今日はそのお湯を作る熱源の話しです。
住宅の中で一番エネルギーが消費されているのは実は給湯とエアコンです。
一昔前、給湯器というとガス瞬間湯沸かし器でした。
現在は様々な種類があり、電気温水器、エコキュート、エネファームなどからも選択できます。
では現在、最良の給湯器は何になるのでしょうか?

電気温水器は主に深夜電力(通常電気料金の約1/2-1/3程度)を使って沸きあげたものを貯湯タンクに貯めておき使用するものです。お湯の蛇口を開くとタンクの下側から水道水が入り込み、上から熱いお湯が出て行くという簡単な仕組みです。夜11時から朝7時までに(現在は各電力会社とも様々なプランがあるので一例として)作った温水を使うため貯湯しているときに温度が下がるロスがありますが、深夜の電気料金が安いので、光熱費を押さえることができます。
これをさらに進化させたのがエコキュートです。電気温水器がヒーターを使ってお湯を作るのに対し、エコキュートはヒートポンプが熱源になります。エアコンで使っている室外機と同じようなもので熱を作っています。ヒートポンプとは冷媒のフロン代替品を圧縮したり蒸発させたりする過程で発生する空気中からの熱の移動を利用して暖かい空気や冷たい空気を作り出す機械です。エネルギー効率が高く従来の空調機よりも発熱効率が3-5倍良いといわれ、さらに日々効率は良くなっています。
エネファームは東京ガスで展開している燃料電池型の熱源になります。供給されている都市ガスはメタン(CH4)が主成分ですが、このメタンから水素を取り出し、それを空気中の酸素と化学反応させると電気ができます。(中学の理科で習う水の電気分解の逆ですね)その時に発生する熱でお湯を作るという一石二鳥のシステムです。ガスを使いますがあくまで燃焼で熱を得るのではなく化学反応の熱を捨てずに使っているところが優れていて、発生するエネルギー、電気と熱を効率よく両方とも頂いてしまおうという考えのものです。現在の問題点はそのシステムよりもむしろ機器の価格と法律にあります。法律?電気の買い取りのことですが、メタンから水素を取り出す時二酸化炭素も排出するため、電気の買い取り対象になっていないのです。そのため余分な電気を作らないよう、電気を一番使っている時間帯に稼働させ同時にお湯を作ることになります。使い切れなかった電気は放電させ捨てるほかありません。極端な話しお湯を沢山使う家庭の場合、お湯を作る時に大量の発電が行われますが、使われなかった電気は行き場を無くしてしまいます。そのような事態を防ぐため、コンピューターによって日常の使い方を把握し、補助のガス給湯機も使いながら足りないお湯を補給し、その家庭にあった発電が行われることになるという少々複雑なシステムになっています。
Wikipediaから、エネファームなどを含むコージェネの導入条件という項目を参照すると以下のようになります。
「建物内部で必要となる熱量を電力量で割った値を熱電比という。熱電比は建物の用途に酔って異なり、ホテルや病因では大きく、オフィスビルやデパートなどでは小さい値をとる。(すなわち、お湯をあまり使わないと言うことになります)
コジェネレーションシステムによって供給される電熱比が、建物の受容する電熱比と大きく異なる場合、コジェネレーションシステムを導入してもエネルギーを有効に利用することができない。また、住宅など熱需要の大きい時間帯と電力需要の大きい時間帯がずれている建物もあり、此の様な場合も大きな省エネルギー効果を期待することはできない。」
と言うことで複雑な制御が必要になってくる訳です。
コジェネレーションという言葉が出てきましたが、現在一般的には大規模な建物や地域で行われている総合的なエネルギーシステムで、5万平米を目安としてそれを超える大規模な工場や新宿副都心の超高層ビル群などで採用されています。
ガスタービン、ディーゼルエンジン、ガスエンジンなどで発電し電気を造るだけでなく、発生した熱を回収して冷房や給湯に使うことで総合効率で70-80%以上を誇る省エネルギーシステムです。日本の一般的な火力発電所も1970年代には40%程度だったのを最新の発電設備では企業の努力でかなり効率を上げてきていますが60%程度です。また現在の全世界での平均総合効率は40%と言われています。ちなみに皆さんがよくお世話になっているガソリンエンジンは20-30%で、車を動かすこと以上にメカニカルロスで奪われたり熱として捨てられているのです。

未来の予想になりますが、では住宅の熱源の最終的な行き先はどこになるのでしょうか?
私の考えでは究極の熱源は水素で、燃料電池と呼ばれる発電装置と組み合わされたものではないかと考えています。何故なら水素は水から作れるからです。原料となる水素はガスの中から取り出す以外に、製鉄所、ソーダ工場などで副次的に発生してしまう副生水素を利用することができます。エネファームだけではなく将来的には自動車も燃料電池に行き着くと云われていますが、現在各メーカーで研究実験が勧められておりさらに効率がよく安価なものを目指しています。また、燃料電池を大規模なシステムで使う技術は現在開発中です。

以上のことから考えると、現在2014年時点ではエコキュートがシンプルで一番使いやすい省エネ給湯器と言えるでしょう。機器の値段が下がってくればエネファームも選択しに入ると思います。両方ともある程度の大きさの設置場所を必要としますから狭い場所やマンションなどで手軽に使うとなるとまだガス給湯器に軍配が上がる、というのが私の結論です。

追記:住宅のエネルギー消費量はどのように変わってきているか。ご存知ですか?
エネグラフ

上のグラフがその変化を表したものです。
1970年当時と比べると年々右肩上がりに増え続け、2008年には約2.8倍に増えていますが、近年は落ち着いてきて高止まり状態です。
上のグラフから暖冷房で使うエネルギーよりも給湯で使うエネルギーの方がわずかですが多いことが分かります。
給湯のエネルギー消費量はとても大きな割合を占めていますから、給湯器の熱源や効率についてこだわるのです。

参考までに、右下のグラフは日本の家庭の消費電力の内訳になります。家庭で使われている消費される電力はエアコンが約1/4ですが、電力で給湯をしている過程が少ないので総量で見るとその他に含まれます。電気温水器やエコキュートにするとエアコンと同量の消費ということです。

まめ知識12 バスルーム、浴室についてのいろいろ

ここ20年程で浴室=ユニットバスということが世間一般では定着してしまったようです。
浴槽、バスタブの話しをしていたら建て主はユニットバスの話しをしていて話しが噛み合なかったという話を知り合いの建築家から聞きました。
現在ではほとんどの建て売り、メーカー住宅はユニットバスを使うようになりましたが、自由度の高い在来工法で作られたバスルームはやはり魅力的で一軒家を建てるなら是非採用したいと考えています。

ユニットバスが主流になる前、在来工法で造られた浴室にはバスタブの埋め込み型が主流でしたが、最近おしゃれなバスとして据え置き型のバスタブも多く使われるようになってきました。ではどちらを選ぶか?結論から言うと、好みの問題になります。またまた、いい加減な結論ですね。でも各々長所、短所があるのでそれを知っておくのは有用でしょう。スタイルが良いからという単純な理由だけでなく、なかなか奥の深い問題をもっていますので、今日はそのことについてお話ししたいと思います。
木風呂
ユニットバス以外では現在の定番は埋め込み型です。その昔、昭和30年代頃までは木製の風呂桶をモルタルのタタキの上に置き、洗い場は木製のスノコというのが一般的でした。正確には銭湯に通っていた人の方が多かった、でしょうか?木製の風呂桶は何年か経つといきなり底が抜け、我が家でもその度に大騒ぎをしたものです。そのうちに丈夫な青いポリバスに取って代わられ、その後より綺麗な浴室を!ということから埋め込み型の浴槽に代わって行きました。そして現在、おしゃれなバスルームには置き型の浴槽、という選択肢もでてきました。ちなみに色が青であったのは銅管を使った配管からでる銅イオンがバスタブを青く染めてしまうことが多かったからと推測されます。
置き型→埋め込み→置き型とタイプが定まらないのは単なる流行だけでなく、それぞれに長所、欠点があって評価が定まらないからでしょう。
埋め込み型ですが、一件綺麗で清潔なバスルームができるように思いますが、実は汚いところを見えなくしているだけです。また埋め込んでしまうため、一回トラブルが起きるとかなり大掛かりな工事となってしまいます。10年、15年後にメンテナンスのため浴槽の裏を見ると、見たくないものを見てしまった!と思われることもあります。浴槽裏に換気扇を付けて裏面を乾燥させていれば綺麗に保てるようですが、なかなかそこまではやりません。
風呂裏カビ
写真は置き型バスの裏側一年放置した状態

一方、置き型ですが壁に寄せて設置すれば隠れた壁と浴槽の下は当然汚れます。どの程度汚れるかは使用状況にもよりますが、我が家の経験から言えば年に二回程掃除をしているとそれほどひどい状況にはならないようです。浴槽の真下が一番汚れがひどいように思われますが、実は真下の暗い部分より多少光の届く周りの方が汚れがひどいのは考えていなかったことでした。掃除の時に動かしたくなるので、現在はやりの置き型バスではホウロウ製の重いものはさけ、アクリル製の軽いものを使っています。

バスタブの埋め込み型と置き型の違いはバリアフリーも関係します。一般的に浴槽の深さは50cm程度、半洋風のもので45cm程度です。埋め込み型の場合またぎの高さを35cm程度で設計することが多いので、浴槽の底は浴室床面より15cmほど低くなります。エプロンを低くしたり深い浴槽の場合20cm程度になることも少なくありません。これはちょうど階段一段分の高さになる訳で、お年寄りが使用すると前につんのめる姿勢になることがあり、注意が必要になります。一方置き型のバスタブは一般的にまたぎの高さが50cm程度で昔のポリバスのようには高くなく、バスタブの床面は逆に5-10cmほど高くなりますが、私の経験からいうと置き型の方が楽に出入りできますので、デザイン面だけではなく機能的に置き型のバスを選ぶ選択肢もあると思います。
さて、バスタブの材質ですがこれも様々あって選択には迷うところです。
大きな流れで流行を見てみると、昭和30年代の木製→青いポリバス→ホウロウ製やステンレス製→人造石風硬質プラスティック→アクリル製バス。という流れになります。前述したように木製の浴槽が耐久性に問題があったためあっという間にポリバスと呼ばれるFRPを主体にして表面ゲルコート仕上げしたのものに取って代わられました。ゲルコート仕上げとはメス型の型材にあらかじめゼリー状の樹脂を塗ってからFRPの成型を行い、型から抜くとツルツルの仕上になる方法をいいます。プレジャーボートなどもこの方法で造られています。
埋込バス
写真は人造石風硬質プラスティック製埋込型バス

ただし所詮はプラスティックですから重厚感と高級感が無く、傷がつくと光沢感もなくなるため次第に飽きられ、昭和の終わりから平成始めにかけては高級品としてホウロウバスが多く使われるようになってきます。ホウロウバスには鉄板ホウロウバスと鋳鉄ホウロウバスがあり高級感を求める人には高価な鋳鉄ホウロウバスが選ばれるようになりました。しかし、冷たい、ホーローが欠けることがあるなどの欠点が嫌われその後は各浴槽メーカーが開発した人造石風のプラスティックバスが主流となり、現在に至っています。一部外国メーカーが採用していたアクリル製バスですが、傷がつきやすかったポリバスのゲルコート表面仕上部分をアクリル製に代えたもので、光沢があり圧倒的な高級感があるため、最近人気がでてきています。FRP素地でバスタブの型を作った後、熱して柔らかくなった数ミリのアクリルの板を真空吸引してバスタブの型に接着して製造しています。アクリルはプラスティックの中では一番傷がつきにくい固い材料ですから長い間光沢が保てるのが特徴です。
当初は外国製のジャクソンなど高級品しか日本では手に入りませんでしたが、現在は中国や東欧で同じような品質のものが安価で作られるようになり、一般住宅や賃貸集合住宅でも十分に使える値段になっています。
下井草バス
写真はstudioA設計、下井草APのバスルーム(賃貸)

また耐久性に問題のあった木製浴槽ですが、材種や防腐剤などの研究で最近は比較的長期にわたって使えるものもあります。スーパー銭湯などで使われているのでご存知の方も多いと思いますが、古代檜と呼ばれる台湾で取れるヒノキを使った浴槽が一時ブームになりました。しかし現在は伐採が禁止されているため各社の在庫分しかなく、残念ながら今後大きく増えることはなさそうです。
その他鋳鉄ホウロウバスは未だに根強い人気がありますが、ステンレスバス、ポリバスはかなり減っています。
バスタブなどの細かい部分で比べて見ても住宅はかなり変化し、贅沢なものになってきているのが分かります。
プロフィール

Kei Morozumi / studioA

Author:Kei Morozumi / studioA

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