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まめ知識17 買い替えたいけど入らない!?

人は時間とともに贅沢になっているようで、30年程前と色々なものを比べてみるとかなり大きく、豪華に変化しているのが分かります。
例えば車。1970年頃、大衆車はカローラとサニーでした。ちなみに初代のカローラは長さ約3.8m、巾1.5m弱、重さ710kgで、今の代表的な小型車ヴィッツと比べると長さ約3.9mとほぼ同じですが、巾は約1.7mへ、重さに至っては1000kgと大きく変貌しました。昔の車がいかに小さかったか分かります。

でも一番大きさが変わったのは人間かもしれません。戦後すぐの頃、日本人17歳男子の平均身長は165cm程でしたが、1985年頃には170cmを超えました。しかし1990年以降は171cmから伸びておらず、現在に至っています。江戸時代の男子平均は155cm程度と言いますから現在は伸びがなくなっているとはいえ、15cm以上高くなった計算です。戦後から現在に至る大きな伸びは生活習慣の変化と食習慣の変化と言うことだそうです。色々なものが大きく変化しているのは単に贅沢になっただけではなく、使う人も大きくなっていた訳です。

車と同様に建築の世界でも色々な寸法が年々大きくなってきました。30年前に設計を始めましたが、当時長さ1200mmのバスタブは贅沢な余裕ある寸法でした。それがいまや1400mmは当たり前、1700mmも増えてきました。
キッチンの大きさもだいぶ変わりました。1970年代のキッチンは高さが80cm、奥行き55cm、巾は様々有りましたが平均すると1.8m程度が標準でした。それが現在は高さが5cm増えて85cmに、奥行きは10cm増え65cmと一回り大きくなり、巾にいたっては2.4mが最低基準、2.7mは欲しいと思っている主婦が増えて来ています。これらの寸法の変化は日本人が大きくなったことに関係していると考えられます。

家電製品も同様に大きくなりました。冷蔵庫や洗濯機、テレビも30年前と比べると大きくなっており、皆さんも買い替えのとき、置き場所の寸法と製品の寸法を見比べながら、入る?入らない?と頭を悩ませた経験のある人も多いはずです。しかし設計に携わっている私の感覚で言うと、ここ10-15年はTVと洗濯機を除いてあまりサイズアップにはなっていません。TVは液晶が主流になって一気に大型化しました。洗濯機はドラム式が出て来て一回り大きくなりましたが、従来の全自動洗濯機の大きさは変わっていません。
これらの寸法の変化は高度成長期を過ごし、日本人の生活が次第に贅沢になって来たことが大きな原因と言えるでしょう。

では、他の国ではどうなのでしょうか?
例えばアメリカ。車、冷蔵庫、ガスレンジ、洗濯機や乾燥機、そして人も最初から大型です。1970年代でも冷蔵庫の500L、600Lは当たり前で、GEの冷蔵庫が大型家電の代表でした。最初からすべてが大きかったものですからその当時から大きくなったものはテレビくらいで、車などは逆に小さくなっています。
ヨーロッパ、例えばドイツはどうでしょうか?
キッチンで比べてみると面白いことが分かってきます。ドイツではキッチンは家具というよりも工業製品ととらえられています。ですのでポーゲンポール、ジーマチック、アルノなどのシステムキッチンメーカーが数多く有る訳ですが、寸法は規格化されていてカウンターの下に設置する食器洗い器、オーブン、冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機、乾燥機の巾と奥行きは60cmで統一されています。30年前も現在も同じ寸法です。ですから買い替えはもちろん、冷蔵庫を置いていたところに洗濯機をはめ込むこともできますし、自由に組み合わせることができます。他のヨーロッパ諸国も色々なものが多少は大きくなって来ていますが、日本ほど大きさの変化があった国は有りません。アメリカ、ヨーロッパ諸国は最初から生活レベルが高かった訳で、その間日本は高度成長期、所得倍増などという言葉からも分かるように急速に先進国への仲間入りを果たした訳です。
では今後はどうなるのでしょうか?
10年後に冷蔵庫の容量が倍になっているとは考えられませんし、今のまま横ばいで進むのではないでしょうか?むしろ技術革新で同じ容量の冷蔵庫の外形は小さく変化して来ています。TVも大きくなりましたが、薄型になったためむしろ置き場所は昔の方が工夫が必要でした。後はドイツの工業規格では有りませんが、それに準じた規格、またはDIN(ドイツ工業規格)にあわせたサイズの家電製品が出回るようになれば買い替えの時に変な心配をしなくて済むようになりますが、現在その需要は少ないようです。
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まめ知識16 屋根のかたちについて

周りの家々をちょっと見て下さい。上の方なのでなかなか普段は気にしないところですが、屋根にも流行があるのに気がつきます。流行と言っても最近はすっかり寄せ棟(よせむね)型(下図参照、以下同)の屋根に定着してしまいましたが。一方、子供に家の絵を描かせるとほとんどの子が切り妻(きりづま)型の家を描きます。切り妻とは簡単に言うと犬小屋形式の屋根です。昔から家の形は切り妻屋根が定型だったのが子供の描く絵でも分かると思います。ちなみにサザエさんやドラえもんの家も切り妻ですね。

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では建築家はどんな屋根を好むのでしょうか?
陸屋根(ろくやね)という平らな屋根、片流れ屋根、ちょっとデザイン的なヴォールト屋根、日本風を売りにしている建築家は切り妻屋根、本格的な数寄屋を設計する人は入母屋(いりもや)となります。寄せ棟の一種である正方形の屋根、方形(ほうぎょう)屋根は時々見かけますが、不思議なことに街中でよく見かける寄せ棟屋根を選択する人はほとんど見かけません。
建築家は元来へそ曲がりですから寄せ棟を作らないのは容易に想像できますが、ここまで寄せ棟が増えた理由を考えてみましょう。

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歴史的に見てみると縄文時代に盛んに造られた竪穴式住居が原点になります。写真上は佐賀県吉野ヶ里遺跡の竪穴式住居の外観です。入母屋形式ですね。入母屋になったのは次の様な理由からだと思われます。
竪穴式住居の外形は円形または方形ですが、中心に4本−6本のやぐらが建てられそれをもとに屋根を掛けていきます。二辺をそのまま屋根をのばしていき、かたや途中で止めることによって三角形の壁が自然とでき採光や排煙に都合が良かったと思われます。構造的にも四方八方から真ん中に寄ってきたタル木を整理してやる必要がありますから、この方が作りやすかったのです。(写真下参照)

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その後、中世になると社寺仏閣などでは入母屋が採用され、一番格式の高い屋根形式となります。現在でも数寄屋造りが入母屋なのはそのような理由からです。格式で言うと入母屋に続くのが切り妻で一番低いのが寄せ棟でした。

では何故いまの住宅で格式の低い寄せ棟が主流となったのか?
昭和40年頃までは圧倒的に切り妻屋根が多く、そのため日本人の家のイメージは切り妻屋根になったのは前述の通りです。40年以降住宅はハウスメーカー、プレファブメーカーのものが主役となりますが、それと時を同じくして寄せ棟が増えていきました。寄せ棟はハウスメーカーのスタイルと言っても過言ではありません。ハウスメーカーが寄せ棟を選択したのにはちゃんと理由があります。

一番大きな理由は法規的な問題からです。日本の住宅地では北側斜線制限と言う規制があり、厳しいところでは隣地との境界線上で5mより高いところに建物は建てられません。境界線から離れるに従って6m,7mと徐々に高くまで建てられるようになります。東西南北にきちっと合った境界線であれば北側の境界線だけを気にすれば良いわけですから、片流れでも切り妻でもこの規制に引っかかること無く建てられますが、例えば45°境界線が振れていたりすると北西の境界線と北東の二方向で5mからの斜線制限に引っかかってしまいます。そんな時は境界線から離して建てるか寄せ棟や陸屋根にするしか無いわけですが、都心に近い住宅地では広さが十分でない場合が多いため離して建てるのは困難なケースが多くなります。どんな土地にでもフィットするプロトタイプを設計しようとすると寄せ棟か陸屋根しか無いわけです。陸屋根に抵抗がある人、技術的な問題もありハウスメーカーは寄せ棟を選択した、というのが今の街並を造り出しました。
もう一つの理由は構造的なことになります。寄せ棟を作ろうとすると下の柱の位置や耐力壁に関係なく、屋根は屋根で作らなくてはならなくなります。何故かと言うと三方の屋根が集まってくる頂点や尾根にあたる棟の位置と下の構造体を合わせることはとても難しいからです。下の構造は下で完結させ、屋根は屋根で別に考える、というのが寄せ棟の基本的な考え方です。この様な屋根の構造を和小屋といい、昔から日本の住宅はこの方式で建てられました。簡単で良いのですが、屋根を支える大きな梁やその上に束が下の構造とは関係なくあるものですから、大抵の場合ごちゃごちゃした屋根の構造体は見るに耐えず、二階に平らな天井を張って隠してしまいます。平らな天井と斜めの屋根に囲まれた大きな屋根裏ができるのですが、この使い道の無い空間を建築家は嫌います。囲った空間はなるべく有効に使おう!と大学で教わってきたからで、住宅作家として有名な吉村順三先生を始め、私の恩師である林雅子先生も断面で見えてくる天井裏は小さければ小さい程美しいと言っていました。これが真理であるかどうかは別の機会に述べることとして、近代建築そして現代建築は空間の有効利用を大きな目標としています。

私がよく使う陸屋根、昔はロクでも無い屋根だから「ロクヤネ」なんて、嫌みも言われていましたが、FRP防水という新しい工法が広まるにつれ木造でも雨漏りの無い安心できる「陸屋根」が作られるようになりました。今から20年程前の話しです。ハウスメーカーもインナーバルコニーと言ってバルコニーの下に居室のあるタイプをこの頃から作り出しましたが、これもFRP防水の信頼性が高まった影響です。studioAでは折板屋根の陸屋根を採用することが多いのですが、技術的には昔から工場で使われている信頼性の高いものです。ただ一般的には工場や倉庫、住宅でもカーポートでしか使われることが無いため、あまり良い印象は持っていただけないようです。

ということで今日の話しは終わりますが、屋根一つとっても奥が深いことが分かっていただければと思い書かせていただきました。
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Kei Morozumi / studioA

Author:Kei Morozumi / studioA

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