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まめ知識09 防火戸サッシについて

皆さんはご存じないかもしれませんが2013年の年末、実は建築の住宅業界では大変なことが起こっていました。
住宅によく使うアルミサッシの防火戸認定が無効、販売停止になったのです。

防火地域、準防火地域に指定された地域では、防火戸を使わなくてはいけない箇所があります。敷地境界線からの距離が一階では3m、それ以外の階は5m以上離れていない箇所の開口部は防火戸にしなくてはならないとなっています。
ではそのような地域が防火指定されているかと言うと、東京23区内では公園や川の近くを除きほとんどの場所で準防火地域が指定されており、幹線道路沿い、駅周辺などがそれよりも厳しい防火地域に指定されます。地方都市ですと駅周辺の高いビルが建っている地域が防火地域、駅から2-3km圏内が準防火地域指定といった感じです。東京の建築家は大騒ぎしていたけど地方の建築家はあまり気にしていないと言った方が分かりやすいでしょうか?
東京23区内や横浜の住宅地だとそのほとんどが準防火地域に指定されているので、隣家が近くまでせまっているような敷地では防火戸が必要な開口部が玄関を含め何箇所もでてきます。そこで我々設計者は安くて防火性能があるアルミサッシに網入りのガラスをいれて防火戸として使ってきたのですが、その防火戸が昨年暮れで認定を取り消されてしまったのです。

原因はカーテンウォール防火開口部協会が国土交通省に出していた通則認定という制度にありました。通則認定とは膨大な数とバリエーションのあるアルミサッシを一定の設計条件を満たした製品であれば一体ずつ燃焼検査をしなくても防火戸として認めますという制度で、今までのアルミサッシはすべてこの通則認定をもとに新製品などの防火戸認定を取っていました。

一部防火認定品に偽装試験を受けるなどの問題が発覚したため、国土交通省は既に認定を受けている様々な防火認定品の抜き打ち検査を2010年ごろから行ってその性能を確かめていましたが、それに今回アルミサッシが引っかかってしまったのです。以下、2010年11月24日のケンプラッツの記事です。
「国土交通省は現在、三協立山アルミ製のアルミ樹脂複合サッシ「マディオJ」の防火戸仕様について、販売停止と性能評価試験受験を求めている。サンプル調査で遮炎性能が不足していることがわかったためだ。この防火戸は国土交通大臣認定に基づく製品だ。炎にさらされても20分間にわたって炎が燃え抜けない性能が求められるが、実験ではそのわずか半分の時間しかもたなかった。断熱サッシの防火戸仕様を巡っては、エクセルシャノンなど5社による樹脂サッシの認定違反事件が09年1月に発覚している。それから2年足らずで、問題が複合サッシへ“延焼”した格好だ。」
ちょうどその頃、木製防火戸の認定を受けるため試験場に頻繁に出入りしていたのですが、アルミサッシの相当数が抜き打ち試験で落ちているという噂でした。これは大変なことになるなと思っていたのですが、樹脂サッシの不合格品発覚から始まり複合サッシに飛び火、そして一部の通常型アルミサッシにも不合格品がでて、3年前の三協立山アルミだけではなく経過措置を経て昨年一杯ですべてのアルミサッシ通則認定品の防火戸販売が取り消されたのです。

そうなると各メーカーは膨大な種類と大きさのアルミサッシすべて個別の燃焼試験を受けなくてはならなくなります。ガラスの種類が変わるだけで燃焼試験が必要になりますから、膨大な費用と時間がかかってしまう訳です。例えば複層ガラスで一回、単板ガラスで一回、省エネLow-Eガラスで一回という試験を大きなテラス用引違いサッシ、小さな窓用引違いサッシ、当然すべり出し窓や片開き窓のように形式が変わればその各々で試験をしなくてはなりません。ちなみに我々が行った木製防火戸の試験の時、呼び検査も含め一つの認定を取るのに約半年の期間と300万円が掛かっています。

具体的に今でている問題点を述べると今まで20万円弱だった引違いのアルミサッシは50万円近くまで価格が跳ね上がりました。またガラスの種類も自由に選べなくなってしまい、試験を行った数種類から選ばなくてはならなくなりました。それよりも深刻なのが年末の時点では試験の時間に間に合わなくて、引違いのアルミサッシしか認定を取っていない会社がほとんどで、しかもサイズは巾が2m以下、高さも2.2mまでという普通のサイズしかバリエーションがないのです。玄関ドアも防火戸認定を受けているものは各メーカーとも数種類の品揃えに減り、値段も50万円程度になってしまいました。スチールサッシを製作で作った値段よりも高い状況です。設計の自由度ががくっと減ってしまった、またはお金がかかるようになってしまったという訳です。

以上は設計者として深刻な問題点でしたが、もうお気づきかと思いますが「では我が家のサッシは大丈夫なの?」ということでしょう。今回は既に竣工している物件のサッシについては既存不適格とはするものの、強制的に交換しなくてはならないなどの措置はとっていません。1981年に耐震基準が変わり建物の構造的な見直しがされた時、既存の建物は「既存不適格」となりましたが耐震補強を強制しなかったケースと似ています。

抜き打ち検査の結果からいえば、「樹脂サッシ」という結露を防ぐために建具のほとんどがプラスティック樹脂で製作されているものはほとんど防火性能が発揮できませんでした。通常のアルミサッシは試験に落ちるものがあったり無かったりだったようですが、今回通則認定度で認められていたすべてのサッシを不適合としたため、防火戸としては認められなくなったわけです。防火戸が要求されている場所かどうかはガラスに網が入っているかどうかで判断できますので(耐熱強化ガラスの場合はシールで確認できます)、気になる方は確認してみて下さい。

嫌なことばかりかいてきましたが、実際防火戸の性能はむしろ使い方で大きく変わります。ドアの場合きちんと締まっていなくては防火戸にならないのと同じように、アルミサッシが防火性能を発揮するためにはきちんとクレセントをかけておかなくてはならないからです。「火事だっ!」という時に、家中のサッシのクレセントやレバーをきちんとかけて逃げる人はなかなかいないと思います。しかし、クレセントをきちんとかけないとサッシの中央部が熱でたわんで隙間ができ、そこから火が入ってしまいます。

また、最近は網入りガラスの代わりに耐熱強化ガラスが使われることも多くなってきましたが、これも実際は問題があります。消火活動が始まり水がかかると急激な収縮が起きて割れてしまい、防火戸の性能を発揮できなくなるからです。
このように使用上の問題点も多々あるのであまり神経質になることは無く、近所が火事だという時にはクレセントをかけるというように、現状の性能を十分に発揮できるようにすることを心がけるようにするのが良いかと思います。我が家でも同じ問題がありますが、そのように考えるようにしています。
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